第十五話 バビミア亡命政府
バビミア周辺の海域では異様な光景が広がっていた。
ICA海軍の艦船、駆逐艦DA7は巡洋艦CA4とCA5を連れてバビミア周辺海域を封鎖していた。
「艦長!」
「何だ?」
「レーダーに反応です。艦隊前方25マイル11時の方向。これは、、、グマンタル海軍です。」
「こちらに対して何か行動を起こす様子は?」
「今のところありません。ただ前進してくるのみです。」
観測手がそう伝える。
そんな中あるニュースが世界に放映されていた。
「こんにちは。皆さん。現在AIGUSについて新しい進展があったのでご報告いたします。我々の考えに同調し、相互防衛を行う強力な同盟に参加した国々のご紹介です。この度我らに、グルリ諸島のバビミア国、リチュア国、ジニャーランド国、ボジル国のサラパ族、テュックランド国、ルジバニア国、ウジャッジャ国のウジャッジャ統一戦線、ルビジニア国、スライン国、ジャミーズランド国が加わりました。」
記者たちから質問が投げかけられる。
「今回、加盟している国々には現在ICAの攻撃を受けているものもあるが、どういうことですか?」
その質問に対して、ユロムは
「現在行われている軍事的脅威に対しても我々は団結し、対処する所存でございます。」
そう意味深な答えを返すと、記者たちは背筋が凍りつく。
何かを感じた記者が一人、勇気を振り絞って尋ねる。
「バビミア国政府の加盟申請はいかように受けたのでしょうか?」
「、、、、グマンタル国内においてバビミア国の亡命政権が樹立しました。そちらより申請は受けております。」
カメラマン達が一斉にシャッターを切る。
記者が更に踏み込んで質問をする。
「ICAへの、、、攻撃も行われるのでしょうか?」
少しグマンタルのユロムは苦笑すると、
「我々は集団的自衛権を行使し、同盟国防衛に協力する所存でございます。」
と核心は避けて答える。
それは新たな戦乱の時代の幕開けとなるのだろうか。
ここにいる誰もがそれを感じ取っていた。
ICAの駆逐艦DA7はそれをまだ本部から知らされていなかった。
グマンタル海軍の艦艇の主砲がDA7の方へと向く。
ピピピピピピピピピピピ
「レーダー波照射、ロックオンされました!」
「どこからだ?」
「グ、グマンタル海軍です!」
「グマンタル海軍!?まだこっちは何も報告を受けてないぞ!」
するとCICに警報が鳴り響く、
「ミサイル発射を探知、計6機!」
「げ、迎撃準備!前甲板VLS1〜6番対空ミサイル発射用意!」
「目標データ入力完了。発射用意よし!
撃てぇええええ。」
DA7の甲板からミサイルが6機放たれる。
が、
「再びロックオンされました!」
「なに!?」
「今度は戦闘機です!距離15マイル10時の方向!」
「何機だ?」
「計8機、今発射されました。対艦ミサイル16機!」
「クッ。近接防空システムで迎撃する。チャフ発射!」
艦隊の真上にキラキラ反射するチャフが撒かれる。
「CRM(Close Range Missile)発射!」
ミサイル発射筒が回転し、一発ずつ蓋が外れ、ミサイルが発射される。
ミサイルは宙を舞いながら、敵ミサイルへと向かう。
「3発うち漏らしました!」
「機関砲で撃ち落とす!射撃用意。撃て!」
機関砲の砲身が回転し、ミサイルに銃弾の雨を降らせる。
ミサイルは1機また1機と撃ち落とされ、空中で爆破する。
だが、最後の1機がDA7へと迫っていた。
最後の1機は弧を描き、真っ直ぐDA7へと突き進んでいく。
「総員!衝撃に備え!!」
最後の砦SWS(Shock Wall System)が起動し、着弾直前に爆弾を使った衝撃波の壁を作り、最後の1機を撃ち落とす。
「やったぞ。耐えきった!」
喜んだのも束の間だった。
ドゴォオオオオオオオオオオオオ
DA7が大きな唸り声をあげて浸水する。
「何だどこからの攻撃だ?」
「第3ブロック浸水!」
艦内はパニック状態になる。
水面下では大量の潜水ドローンが船に群がっていた。
「なるほどな。対艦ミサイルに気をそらせて、本命はそっちだったってわけか、、、」
そしてグマンタル海軍の艦艇から再びミサイルが発射される。
「俺達の完敗だな。」
DA7はそのミサイルを受けたのを最後に爆散し、沈没した。
他の軍艦も潜水ドローンの密集攻撃を受けて、CA4とCA5共々次々と沈没していった。
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