第十六話 侵略と理想


AIGUSとバビミア軍の強烈な反撃を受けたICAは作戦の練り直しを迫られていた。

会議を開いたロメル・ジルコニフは現在の状況を伝える。

「現在バビミア国に進入した部隊で、一部が連絡がとれない状況が続いている。またバビミア沖の海上封鎖を行っていたICA海軍の駆逐艦DA7、巡洋艦CA4、CA5がそれぞれ撃沈。乗組員は消息不明だ。さらにグマンタル、いやAIGUS軍の空母打撃群がイリムナ国の第一基地に向かっている。この状況を打開する方法を考えてもらいたいが皆さんの意見はどうかね。」


しばらくして何人かの参謀が口を開く。

「今回の作戦は少し相手を舐めていた節がある。勝てる勝負に無駄な損耗を伴ってしまった。」


「ともかく、今は空母打撃群の処理とバビミアに残る部隊の増援だ。」


「出し惜しみしている場合ではないな。駆逐艦DB1を出すか?」


「いや、一気に片付けてしまおう。駆逐艦DC1Dを出すべきだ。」


「ドレッドノートか?まだ早いのでは、、、」


「いやここまで殺られて中途半端な反撃では、我らがICA軍のメンツがたたない。ここは格の違いを見せるべきだ!」


ロメルは溜息をつくと、

「ICAのメンツは関係ないが、私は駆逐艦DC1D(ドレッドノート)を出撃させることには中立だ。DC1DとACCA1はICA軍の切り札で温存しておきたいのも分かる。一方で審議官から実戦に出してデータを集めろというオーダーも出ている。その思いもくみとらねばならない。」


「ここは先鋭艦DB1を出撃させ、ロメル将軍自ら指揮をとるというのは、、、」


ロメルは少し驚いたような顔をするが、すぐに平静に戻ると、


「私自らか?」


と問いかける。

「あの大海のシャチと呼ばれたロメル将軍の手捌き、、、披露してください。」


「ほう、ロメル将軍の指揮がまた見られるとは、、、」


参謀達の期待の視線がロメルに一気に注がれる。

ロメルは苦笑すると、

「いいだろう。そこまで言うならばこの私自ら指揮をとってやろう。」

と承諾する。

参謀達はそのロメルの決断を拍手を持って迎えた。

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