第2話 家での生活
僕たちの住むこの家は、少し広めの1LDKで基本的に2人が分かれて過ごすということが少ない
基本的な部屋がリビングと寝室しかないのだからそりゃそうだけど、僕達は余程の事がない限り一緒の空間の中で過ごしている
人からは多分
「一人の時間が欲しい時とかないの?」
「そんなに一緒に居て疲れないの?」
と聞かれてしまうだろう
でも本当に問題ないのだ、寧ろ自分の目の届く範囲に居てくれない方がお互いストレスに感じる
例え機嫌が悪くても正直相手の仕方次第でなんとかなるから不便に感じる事はない
寧ろ今のこの状態が1番自分にとって幸せだ
「スキラ?ねぇスキラ?」
ぼーっとそんな事を考えていたからかヘデラの呼び掛けに気付けなかったらしい
「ん!?ごめん考え事してた、どうしたの?」
と慌ててヘデラに返事をする
ヘデラは少しムスッとしたような顔をして
「なんだよ、俺の呼び掛けにすぐ気付いてくれないって、何か考え事?何か隠してるんじゃないよね……」
と聞いてくる
心做しか僕を後ろから抱いている手の力が強まったような気がした
「ううん、そんな事ないよ、ヘデラとこうしてゆっくりできて僕は幸せ者だなって思ってた」
と正直に話した
ヘデラは少しキョトンとした顔をしてからすぐにいつものように優しい笑顔に戻って
「そうかそうか!なんだ!スキラが俺に何か隠してるのかと身構えちゃったよ!」
と言った
別に彼に隠すような事はしていない
例えば彼に話さずしていた事も質問されれば全て教えられる
それだけ僕は彼を愛しているし、口の硬い彼を信じているからなんでも彼には包み隠さず話す
本当は分かってるはずなのに不安になるのは彼の昔からの癖らしい
普段僕を頼ってくれなくて、頼りがいのあるヘデラだからこういう一面を見せてくれるのはむしろ僕としては嬉しいのだけどね
「そうだ今日は寒いから鍋作るよ!」
とヘデラが思い出したように言った
「いいね!何鍋作るの?」
と返す
最近は冷えるから温かいお鍋はありがたい
それに野菜やお肉を沢山食べれるし
「水炊きか、冷蔵庫に豆乳あるから豆乳鍋かなぁ……スキラはどっちがいい?」
と聞かれた
「確か前回水炊きだったと思うから今回は豆乳鍋で食べたいなぁ〜!」
と答える
シンプルな水炊きもいいけど、豆乳鍋もたまにはいいよね
「OK!パパっと作るから適当にゴロゴロして待っててね!」
と言ってヘデラはキッチンへ向かい、エプロンをして作る準備を始めた
いつもヘデラが趣味だから、俺がやりたいから、と率先して家事をやってくれているから、正直言うと少し…というかかなり申し訳ないと思っているところはある
ただ……前に手伝いたいと言ったり、家の中をピカピカに掃除した時は
「スキラは何もしなくていい、いっそ正直に言うけど俺が居ないとダメになってしまえばいいんだよ、分かるかい?スキラ?俺は仕事は人より早く出来るし働きながら家事なんて造作もないことなんだよ、だからいいよゆっくりしててね?」
「君は天然な所があって、出会った日だってずっこけて植木に突っ込むわ方向音痴過ぎて俺のところへ引き返して道を聞いてくるわ、教えたのに真反対の方向へ行くわで、本っ当に鈍臭い女だよ、でも俺はそんな所がたまらなく可愛いと思うし癒されるからそのまんまでいい、はい、分かったならお菓子あげるからそこで食べてゲームでもしてなさい、すぐに家事終わらせるから」
と半分お説教のような事を言われた……
実際鈍臭いのは自覚してるけどもそんなに昔失敗しちゃってた事グサグサ言わなくてもいいじゃないかと思う
「スキラ〜?ご飯出来たよ」
と声をかけられた
ハッとしたらまろやかな豆乳の香りがした
「うん!今行く!」
と既に準備が整ったダイニングテーブルに座る
今日の献立は
ゴマ豆乳鍋、大根と梅のおかか和え、少しピリ辛のたたききゅうり、白ご飯
だった
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