本編

第1話 プロローグ

ペンがノートの紙の上を滑る音だけが部屋の中に響く。

ただ僕の気の向くままに、描きたいように、やりたいように絵を描いている。

こうしていると永遠にも感じるような時間も退屈せずに過ごせる......そうしていると、



「ただいまー。」



という声が玄関から聞こえてくる

彼が帰ってきたのだと僕はそのノートを持って急いで玄関へ向かう、



「おかえり!!!あのねあのねまた絵を描いたの!!!見て!!!」


「おー、相変わらず上手いなぁ?」



僕の大切な恋人であるヘデラ

僕はあまり面白い話題を用意出来ないけど、絵を描けばへデラと話す話題にもなるし、彼はいつも僕の絵は上手だと沢山褒めてくれる

元々昔から絵が好きだったのもあるから絵を描くこと自体は苦ではない

ただ描く題材があまり変わらないし、もしかしたら全て同じ絵に見えて退屈させてるのではないかと時々不安になる



「スキラ、おいで?」



そう言っていつものように腕を広げるヘデラ

その腕の中へ僕は思い切り飛び込んだ

ヘデラは僕なんかよりも背が高くて筋肉もある方だ

飛び込んでも倒れる気配がない、こうして飛び込んでもちゃんと受け止めてくれる

ヘデラにこうしてぎゅってするの凄く落ち着くな.....こんな時間がずっと続けばいいのにな……







昔から誰かに大切にしてもらった事が少なかったし、ましてや誰かとこんなにも抱き合うなんて君と出会うまで人生で1度もした事がなかった

ご飯もまともに食べれなくて、暖かい布団になんて昔は入った事もなかったくらいだ

そんな自分からしたら、愛する人と同じ家に住み、一緒に食事をとり、一緒にお話して、一緒に寝るような今の生活がまるで天国のように感じた

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