イレイザー(11)
浅井啓一。彼は
小津明彦とは大学時代からの友人であり、共に異能力についての研究を重ね、
浅井は能力者であったが、
小津明彦、浅井啓一、黒部康人、澤井あすか。
この四人によって、異能力者たちの社会的地位を確立させるための組織である
最初、
しかし、東京の
N県に戻ってきてから
その証拠に、小津明彦の死後、
そして、反
「浅井さんは、父の友人だったようです」
小津歩は写真の中にいる記憶を無くした男の顔を指さしながら久我に言った。
「キミは浅井さんとは会ったことは無かったのか?」
「はい。ぼくは浅井さんのことは知りませんでした」
「そうか……」
記憶を無くした男が、浅井啓一であるということがわかっただけでも、大きな収穫だった。しかも、浅井啓一は
「浅井さんの連絡先とかはわかるか?」
「ぼくはわからないです。姉だったら知っていたかもしれませんが……」
小津はそう言って、俯いた。
小津の姉である、小津いろはは
「
いままでずっと黙って話を聞いていた姫野が口を開いた。
「
「ぼくが連絡をしてみましょうか?」
「いや、キミを巻き込むわけにはいかない」
「もう十分に巻き込まれていますよ。それに、これはぼくの父親が関係していることかもしれませんし」
小津はそういうと、意志の強そうな目で久我のことをじっと見つめた。
「わかったよ。だけれども、ここは私が
「でも、久我さんが全部ひとりで抱え込むようなことはしないでください。わたしたちがいるってことを忘れないでください」
姫野がいう。その瞳には、あふれ出しそうなほどに涙が溜まっていた。
「キミもそれでいいかな」
「はい」
小津は久我の言葉に頷いて見せた。
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