第10話 初体験…

その日はガスの開栓手続きも出来なかったのでお風呂に入る事ができない。

なので僕と夏美はビジネスホテルに泊まった。

その日は疲れていた事もあり、何もなかったし、僕も求めなかった。


翌日から新居の為に買った家電製品が届き、ガスも開栓し

漸く新生活がスタートした。

余裕が出てくると、緊張もしてくてくる。


そう…僕と夏美はまだキスしか経験がないのだ。

とはいえ経験のない僕にはどういう風に誘えば良いのか

空気感やタイミングがまるで分からない。


こちらに来る前に夏美は

「色々と辛い想いをさせてごめんね。

 そっちに行ったら…私を抱いて。

 このくらいしか…まーくんに報いる方法がないの。」

そう言っていた。

だから僕は夜が近づくにつれて不謹慎だがドキドキしていた。


僕がギクシャクしていたのを不審に思ったのか

夏美が聞いてきた。

「どうしたの?まーくん。」


僕は慌てて

「な、何でもないよ。

 昨日の今日だし、ね、寝ようか。」

と答えた。


すると夏美は少し悩むような表情をして

「大事な事だから最初に聞いておきたいんだけどさ…

 まーくんは…性欲あるんだよね?」


「えっ!?

 あ、あるよ!勿論!」

僕はびっくりしつつもそう答えた。


「そう…良かった。

 これまでずっとお泊りした時も昨日も

 ずっと私に迫って来なかったから…ちょっと心配してたんだ。

 私自分で言うのも何だけど…魅力ある方だと思うんだけどな…」

そう夏美は苦笑いをしていた。


僕は顔が真っ赤になって白状した。

「お泊りした時は…あんな状況で1線を超えるのは違うと思って…

 我慢してただけ…

 昨日は引っ越しで疲れただろうから…我慢した…

 本当は…したいです…凄く…」


夏美は

「あはははは!!!

 可愛い~~~!!!まーくん!!!

 じゃあ今日はしよっか♪」

そう笑って答えた。


「じゃあ、頑張ったまーくんには…

 特別にご褒美をあげちゃいます♪」


「ご褒美?」

僕が首を傾げると


「スクール水着とエプロン…どっちが好き?」

と少し顔を赤らめて聞いてきた。


「えっ?」

僕はきょとんとしてしまった。


「ねぇ~~♪どっち~~~?」

夏美は妖艶な雰囲気を醸し出していた。


「いきなり言われても…

 ん~~~…エプロン?」

僕は深く考えずに答えた。


「あははは!何で疑問形なの?

 エプロンね。分かった。

 じゃあちょっと部屋を出てくれる?」


言われるままに僕は部屋を出た。

そして暫くすると、

「もう入って良いよ♪まーくん」


そう言われたので部屋に入ると

エプロン姿の夏美が僕を見つめて来た。

「ふふっ、どう?興奮する?」


彼女の可愛らしいあられもない姿に僕はドキドキしてしまい

「は…はい!」

そう答えるのが精いっぱいだった。


「じゃあ…来て!まーくん♡」

夏美は、怪しげな笑みを浮かべながら僕を誘った。


僕は本能の赴くまま夏美を抱きしめた。

正直…その後の事をよく覚えていない。


これが僕の初体験だった…


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