第8話 春、通学路
桜並木の下を同じ制服で並んで歩く私といまちゃん。
「だい!だい!ダイナマイトっ!か……ほんっとカッコいいな、ハルは」
「言ってないよ?!」
だははー!と笑ういまちゃんの制服の袖を掴む。
頬を膨らませながら、ふと周りを見渡すと。
いまちゃんを見てる人がいっぱいいた。
ステキで可愛くてカッコいい私の従姉妹。
誇らしくて、うれしくなる私。
と、その時。
「ハル、いまさーん!」
私たちは同時にふり返る。
「おおお。もうどこから見ても姉妹ですよ!この前、間違えられてたんですよね?」
「!!」
いまちゃんと私が姉妹に見えるなんて、嬉しすぎて口元が緩んでしまう。
「わかっちゃねえな秋。彼女と他の女の見分けつかねえとか、大減点だぜ?」
秋人君は、そんないまちゃんに。
「いえいえ、僕は見分けつきますよ」
「ほー。くらえ秋。ね♪あたしがハルだよ、見て見て♡」
「うわあ?!」
秋人君の近くでいまちゃんが、腕で胸を強調する。
私は秋人君の制服の袖を、ぐぐぅ!と掴んでしまった。
「秋人君、ふわふわがいいんだ、ふにふにがいいんだ、ぽよぽよがいいんだ……!」
「なぜか僕がごめんなさいする流れになった?!」
「ハル、心配すんな!あたしも高校からだったぜ?」
「ふおおお……!」
「男子がここに、目の前にいますよー」
●
あの時。
本当の気持ちを伝えた後に大泣きし続けた私に、秋人君はずっとずっと、優しく話しかけてくれていた。
そして、泣きやんだ私に。
『彼氏と彼女になりたい友達から、また……はじめちゃダメかな?』
そう言ってくれて。
そう、言ってくれて。
私がもっと大声で、嬉し泣きし始めて。
今度はテニス部員たちもまきこんで。
そして。
そうして。
同じ高校に受かった私たちは、想いを、形に変えた。
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