第14話 女神怒りの強制召喚

はぁ…。


「なんですか?その顔は!こんな可愛い女神ちゃんがでたんですよ!喜んでください!」

プンプンと自分で言ってプリプリしている。

きっつ…。



「あ、大丈夫です。間に合ってます」

来た道を戻る。


「嘘です!ごめんなさい!真面目にやります!捨てないで!!」

泣きながら腰にしがみついて来る女神。

なんだこいつは…。

めっちゃくちゃスタイル良くて顔もいいのに言ってることとやってることが残念すぎる。



「この世界私が作ったんです…何個何十個も作ってて…今回がいい感じにできたんですぅ…そr」

「そのちっちゃいやめて。そして、ハキハキ喋って」

「はい、了解です。そしたらですね!私も住みたいなって思いましてですね!はい!ガチャの景品にしたんです!自分を自分が作った世界に送ることはできないんですが、召喚された人の特典で選ばれた場合は別なんです!だから入れました!」

きたねぇ…なんかわからんけどお前の上司みたいなやつに本当に怒られて欲しい。


「でも、いらないんで。一人で頑張ってもろて」

踵を返す。


「む…無理なんです!ガチャの景品にするためにめちゃくちゃ能力落としたんです!!見た目だけは落としたくなくてステータスとスキルを犠牲にしたんです!!可愛いだけになっちゃったんです!!」

ホンマに使えなくて草。


「はぁ…わかったよ…。スラちゃんのお世話係ね。」


頭に乗せていたスラちゃんを渡す。


「わぁ…かわいい…」

にこにこ顔でスラちゃんを撫でる女神。

スラちゃんを可愛がるとはわかってるじゃないか!女神よ!



「きゃーかわいい!」

ゾフィとユッテをみて騒ぐ女神。


「天界から見てたけど実際に見ると興奮するわね」

へー


「ねね、この人誰?」

ゾフィが声をかけてくる。

「自称女神のジルだ」


「やべーやつじゃん」

ヒィと声を出すゾフィ


「気をつけろ」


ぴっと耳を自称女神へと向け睨みながら去っていく。

ユッテはあまり興味がなさそうでペコリとお辞儀をして去っていく。



マヤ先生とウィルにも紹介する。

「女神のジルです。よろしくね!」


「あら、ご丁寧にどうも、元教師のマヤです。」

ニコッと笑うマヤ先生。

すごい…自称女神に大人の対応だ。


「おい、本物じゃないか?」

ぼそっと耳打ちしてくるウィル。

「そうだよ、会ったことあるんだ」


「この世界にくる直前にな」

へーじゃあ、マオも会ったことあるんだな

じゃあ、マオに紹介はいいか。


そうだ、部屋あげないと。


「はい、ここがジルの部屋な」


「はい!」

チラチラとこっちを見るジル。


「なに?」


「家具とか持ってるんじゃないかなぁって思っててぇ」

上目遣いでチラチラしてくる

うざぁ…


「持ってないよ。ここにあるのがジルが使う家具だよ」


「ガチャで出たりしてなーい?」

チラリ


「やっぱりガチャ操作してんだろ」


「してないわ!嘘!ちょっとしたわ!」


「ほんとは?」


「ガッツリしました。」

えへっ☆ミ


ぺちーん


「女神をぶった!!」

ひいぃと大袈裟に倒れ頬を抑えるジル。


思わず男女平等ビンタが出てしまった。

身体は男だが心は女なので問題はないはず。


「頑張って努力してダンジョン回ったんだがー?」


「ヒィ…」

怯える女神


「ごめんなさーい!」

サッと土下座をする女神


「ぐぬぬ」

私はきちんと謝れる人には弱いのである。


「わかったよ、一個だけだよ」


「えー?3つがいい!」


ぺちーん


「二度も!?」


ジッと睨む


「じょ…冗談よ…」


「じゃあ、ベッドがいい!」


「はいよ」


《持ち物》から《UR 女神のベッド》を出す。


ドスン


部屋がベッドで埋まった。


「おい、女神のベッドデカ過ぎんだろ」


「じゃあ、晩飯になったら呼ぶね」


「はーい」

元気に返事をした女神を見るとスラちゃんと一緒にベッドでゴロゴロしていた。




一応新しい入居者来たのでカレーにする。作ってる最中にノッてきたのでハンバーグもつけちゃう。


「今日は豪華じゃの。なんかあったのか?」

ハンバーグを焼いているとマオが背中から顔を出す。


「あー女神が来たんだよ」


「あーうるさいあ奴か…」


「まぁ、カレーが食えるなら許してやるか」

ふふーんと鼻歌を歌いながら風呂場へと消えて行った。


「みんなご飯できたよー」


バタバタとみんなが来る。


「「いただきまーす」」


「はぁー!美味しいわー!美味しいわー!」

一口食べて飲み込んでは美味しいと叫ぶ女神。

嬉しいじゃないの。


「天界の方が美味しいものありそうだけど?」


「神ってご飯食べないのよ」

スッと真顔になる女神。


「設定気合い入ってるね」

ぼそっと耳打ちをするゾフィ。


「尋常ないぐらいしっかり設定してるぞ。今度聞いてみろ」


「う…うん。怖いけど聞いてみる」

なんて素直ないい子なんだ。

本当にかわいいやつだ。


「さっきからうるさいぞ駄女神、カレーは黙って食うもんじゃ!」

カッと怖い顔するマオ。


ヒィ…とビビる女神。


「美味しいわー!おいし…」


「じゃかあしいわ!!」


ひぃいんと叫ぶ女神


マオの男女平等ビンタ炸裂である。


ブレない奴だなぁ…

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