第15話 女神とスラちゃん
「大変よー大変なのよー」
バタバタと音を立てながら女神が部屋に入ってくる。
「どしたの?」
「スラちゃんがカサカサになってきたのよ!」
しなしなスラちゃん登場。
「水あげれば大丈夫だよ」
水魔法とついでに魔力もあげる。
しなしなスラちゃんがプルプルスラちゃんへと変わっていく。
「水はなんでもいいの?」
「大丈夫だよ、魔力もあげるともっと良い」
「そうなのね!私も少ししか上げられないけど上げてみるわ!」
グッっとガッツポーズを取る女神。
私からスラちゃんを取り上げるとジーっとスラちゃんを見つめている。
「この子よく見たら変身能力あるのね」
え?
「何かになれるのかしらね?スラちゃんやって頂戴な!」
スラちゃんを地面に置くとポンと音を立ててウルフに変身した。
「「おぉ」」
色は青色で透明だがウルフの形をしている。
「まぁ、スラちゃんは天才なのね!」
よしよしとスラちゃんを撫でる女神。
クソっ…スラちゃんマニアの私がこんな素晴らしいことに気付けないなんて…しかも…女神に負けるなんて…
「くっ…私の負けだ…」
ガクッと項垂れる私
「なにがー?じゃあ、スラちゃん一緒に寝よねー」
ぽふんとスライムの形になったスラちゃんを抱えて部屋を出ていく女神。
グギギ…
翌朝朝食を食べていると女神が喋りだす。
「美味しいわー!美味しい!おいs…なんでもないわ!」
マオに睨まれビクッとする女神。
昨日より成長している…
「そうだわ!今日スラちゃんをお散歩に連れてってもいいかしら?」
ガタッと立ち上がり私に聞いてくる女神。
「お行儀悪いですよ。ジルさん」
マヤ先生が優しい顔で圧をかけた。
こわい
「失礼しました!座ります!」
速攻で座る女神。
はやい
「ウルフとかゴブリンでるけど平気?」
「平気じゃないわ!やめておくわ!」
ブンブンと首を横に振ったあと真剣な顔で答えた。
忙しい顔だ。
「そんなに心配せんでもそのスライムここらへんの魔物より強いぞ」
マオが急に答えた。
「え?そうなん?」
「そりゃそうじゃろ。ここ3年魔石やらダンジョンコアやらいいもんいっぱい食べてるからの」
カレーよりいいもんではないがな、ガハハと笑うマオ。
「へー、じゃあちょっと心配だから最初だけついていくね」
「スラちゃんよかったね!」
ヨシヨシと女神がスラちゃんを撫でたあと朝食を食べ始めた。
「美味しいわー!おいs…」
「「じゃかあしい!!!」」
ぺちーん
朝食を食べ終わった私と両頬が手形で赤い女神はスラちゃんと一緒に家をでた。
「スラちゃん自分で歩く?それとも抱っこしようか?」
女神は胸に抱えたスラちゃんに聞くとぴょんの胸からジャンプして地面に落ちた。
「一緒に歩くのね!!一緒に歩こうねー」
女神がそう言うとズリズリと地面を這いずるスラちゃん。
はー可愛いんじゃ!スラちゃん天使!!
私大歓喜。
1時間ほど眺めた。
「もういいかしら?お家帰る?」
女神はスラちゃんに問いかける
プルプルと震えるスラちゃん。
この返事はどっちだ……
「うーん、わからないわね。まだお散歩続けたいならウルフなってもらえるかしら!」
この女神天才かよ…
ポンと音を立ててウルフになるスラちゃん。
「よし、じゃあ行きましょう!うーん、うーん!スラちゃん乗ってもいいかしら?」
少し悩んでそうな声を出しスラちゃんに聞く女神。
スラちゃんは少し体を屈め乗りやすそうな体制を取る。
「スラちゃん!ありがとう!では、失礼して…」
ウルフになったスラちゃんの横でモサモサする女神。
前や横に行ったり来たりしてぴょんぴょんしてるが全然乗らない。
はよ、のれや。
「乗れないわ!乗れないわー!わーん!こんな可愛いスラちゃんに頑張っても乗れないわー!」
うるせえ!
しょうがないだから後ろから女神を抱えて浮遊魔法を使いスラちゃんに乗せる。
「ありがとう!とても助かるわ!」
ニコッとこちらを見てお礼をいう女神。
ぐぬう…この笑顔には弱い。
スラちゃんに乗った女神と森の中を探索していく。
すると前方にゴブリンの群れが現れた。
「ひぃ!魔物よ!スラちゃん本当に大丈夫かしら?」
魔物の上に乗りながら魔物の心配をして魔物を怖がる女神。
忙しいなあ、お前。
すると、スラちゃんは少し頷いたっぽい動きのあと口にちょっと歪な魔法陣がでる。
ん?
その後、その魔法陣から極太の黒いレーザーが地面に向かって発射された。
ガガガッガガッガガ
地面をえぐりながらゴブリンの群れに飛んでいくレーザー。
跡形もなく消えたゴブリンの群れ。
「スラちゃん!それ私の魔法の真似?」
スラちゃんは少し頷く。
はーなんてこの子は可愛いんだろう。しかも、強い。
はー可愛い。可愛すぎてため息でる。
「ずるい!ずるいわ!スラちゃん私のマネもあとでするのよ!」
キーと悔しそうにする女神。
それを見たスラちゃんは少し困ったような表情をしたような気がする
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