ギルバートと仲間たち 03 おかしな3人組
町に戻ったギルバートたちは先ほどの男からもらった金で、その空腹を満たす。
久しぶりに思う存分食べ物を食べたギルバートたちは、その後で相談を始めた。
「いやあ、食べた!食べた!」
「全くこんなに思う存分食べたのは久しぶりだな!」
「ああ、全くただで怪我を治してもらった上に、こんなにご馳走までしてもらうとはな!」
「ああ、あの人には感謝しかないな」
「やはり名前を聞いておけばよかった!」
「そうだな・・・」
仲間の腕が切り落とされていて、慌ててたとはいえ、今更ながらこれほどの恩人の名を聞いてなかったのが悔やまれる。
そんな話を4人がしていると、その横に他の組合員らしき者たちがやってくる。
その食べ終わった後の多くの皿の4人の食欲を見て、驚いたように話しかけてくる。
「おやおや、これは凄い食べっぷりだな?
我々も横に失礼させていただくよ?」
その言葉に驚いたギルバートは慌てて答える。
「え?あ、どうぞ?」
ギルバートがそう言うと、3人の若い男がそこへ座って食事を始める。
年の頃は20歳前程度・・・
ギルバートたちより少々年齢が上そうな男たちだ。
しかもこの3人の登録証を見てギルバートたちは驚いた!
何と、白い陶器の登録証に青と赤の線が一本ずつ入っている!
これは噂に聞いた「
「
しかしこの3人は全員が6級の組合員のようだった。
同じく驚いたウォルターが、ギルバートに小声で話しかける。
(驚いたな?アレ、「
(ああ、そうみたいだな?話には聞いた事はあるが、実際に見るのは俺も初めてだ)
(しかし6級って、まだ初心者だろ?
それで「
(わからん・・)
驚く4人には構わず、その三人は食事をしながら話し始める。
「今日も迷宮で中々魔物を倒せたな?」
「ああ、我々の前に困難などない」
「うむ、5級になる日も近いな」
しかしここで一人が少々うんざりした調子で話し始める。
「ま、今日の午前中は、少々あの女に振り回されていたが・・・」
「言うな!」
「ああ、あの女の事は忘れろ!」
「あ、ああ、そうだな、すまん」
何やらぶつくさと言いながら3人は食事をしている。
しかしその3人はポカンとして見ているギルバートたちを見ると話しかけてくる。
「ふむ、君たちは9級と10級か・・・
組合員になったばかりかね?」
「え?あ、そうです!俺はギルバートと言います」
「そうか?
アースフィア広域総合組合員の道は厳しいぞ」
「そうそう、俺たちみたいな優秀な人材ならともかくな」
「君たちにはちょっと厳しいかな?」
「はあ・・・」
ギルバートがあいまいな返事をすると、3人組の一人は得意げに説明を始める。
「ああ、何しろ俺たちは全員正規の魔法士で、たったの1ヶ月で初等訓練所を出て、いきなり七級になったからな」
その言葉にもう一人がうなずくと、その人も説明を始める。
「そして七級になって一ヶ月もしないうちに、俺たちは六級に昇級だ」
「しかもこのリーダーなんぞは、すでに魔道士補二級並みの腕前だ!」
「ふふふ・・・いつも言っているだろう?初心者に自慢するのはやめておけ」
それを聞いたウォルターがギルバートに囁く。
(おい!初等訓練所って、金さえ払えば誰でも一ヶ月で卒業できるんじゃなかったか?)
(ああ、そのはずだ)
(それでこの人たち、何でこんな得意げなんだ?)
(わからん)
しかしこの3人はそんなギルバートたちの疑問も知らず得意げに話を進める。
「さすがリーダー!相変わらず謙虚だぜ!」
「ああ、これで五級も余裕だな!」
意気上がる三人にギルバートが尋ねる。
「あの・・・六級で赤と青の横線を両方つけているって事は皆さん「
私は双闘士に会ったのは初めてなのですが、やはり剣と魔法両方がかなり使えるのですか?」
しかしそのギルバートの質問に相手のリーダーが得意げに答える。
「その通りだ!しかし残念だったな。
確かに俺は剣も魔法も使えるが「
「え?」
驚くギルバートたちに男が得意げに説明をする。
「俺は言うなれば「
いや、単純に「
魔法が得意とか、戦士としての技量が高いとかではないっ!
双方共に極めるのだ!」
「さすがリーダー!」
「全くウチのリーダーのために、組合は実際に「
その余りにも予想外の説明にギルバートたちは驚く。
「ええ~っ?」
呆れたギルバートが驚いて声を上げると、リーダーの男が質問をしてくる。
「ふむ、君たちは登録証が全員赤・・という事は、誰も魔法は使えないのか?」
「え?ええ、まあ、そうですが・・・」
「むう、それではこれからキツくなるぞ?」
「え?」
「ああ、俺たちのように全員が魔法士とは言わないまでも、せめて仲間内に最低でも一人位は魔法を使える者がいないとな・・・」
「ああ、そうだな」
「そうですか・・・」
それを聞いて少々うなだれるギルバート。
「ま、しかしこればかりは仕方があるまい!」
「ああ、魔法とは選ばれし者のみがその身に纏える
「うむ、君たちも気を落とさずに頑張り給え!」
「・・・」
押し黙るギルバートにその男たちが名乗る。
「俺の名はリアム、この組合の将来を背負って立つ男だ。
君がここの組合員になるなら、覚えておいて損はないぞ?」
「俺の名はマイケル」
「俺の名はダニエルだ。覚えておけよ?」
「はあ、わかりました」
ギルバートが気のない返事をすると食べ終わった男たちは去って行った。
その3人がいなくなると、ギルバートが話を切り出す。
「一体あの3人は何だったんだ?」
「ああ、何か普通の事をずいぶんと得意げに言っていた気がするんだが・・?」
「そうだよな?」
「初等訓練所ってのは誰でも1ヶ月で卒業のはずなのに、なぜかそれを自慢していたよな?」
「ああ、それに魔法と剣を極めるったって、あの人たち、まだただの魔法士だろ?
何も魔法を使えない俺たちが言うのも何だが、正規の魔道士ですらないのに魔法を極めるはないと思うんだが?」
「そうだよな~、いくら何でもあれで「双闘士」はないよな~」
「そもそも「
そんな職種はないっつーの!」
そう言ってヨハンも笑う。
「まあ、確かに何か変な人たちだったが、魔法士なのはうそではなかったみたいだし、あのキャサリンみたいにめちゃくちゃな事を言わないだけましさ」
「そうだな」
そう言って3人が苦笑するとギルバートが再び話を切り出す。
「なあ、ところで残った金の事なんだが・・・」
「うん?」
「俺たち、魔法を習ってみないか?」
「え?」
「魔法を?」
「ああ、あの人が言っていたじゃないか?
俺たちには魔法の才能があるって・・・
この残った金を有功に使うためにも、魔法を習ってみないか?」
「そうか・・・」
「確か、組合では初心者には格安で魔法を教える教室があったはずだ。
そこで習ってみよう」
「そうだな」
「今の3人の話じゃないが、確かにこれから先、仲間内に魔法使いが一人もいないというのは苦しくなると思う。
あの3人は変な連中だったとは思うが、そこだけは俺も正しいと思う。
これを機会に俺たちが魔法を使えるかどうか試してみるのは良い事だと思うんだ」
「ああ、そうだな」
「賛成だ」
「俺も!」
「では明日にでも組合の魔法施設に行ってみよう!」
「「「おお~~っ」」」
意見が一致した四人は、翌日に組合の受付で聞いた魔法関係の施設に行く事にした。
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