第5話 ご飯3
冒険者ギルドのご飯のメニューはいろいろあったが、ライトとエマはシチューがあったのでそれを頼むことにした。
「ガハハハッ、ここの料理は絶品だから楽しみにしときな。」
陽気なおじさんは何故かどや顔をしていた。
「ああそう言えば、誰が作ってるんですか?ギルド職員って一人って言ってましたよね。」
ライトはそう言って首を傾げた。対して興味は無かったが、なんとなく会話をつなげるためであった。
「ああ、それは、覆面の料理人だ。」
そしたら、想像以上の回答が返ってきたこともあり。
(怪しくね、なんか怪しくね。覆面?覆面?)
そう考えるぐらいにライトの興味が復活した。
「うん?なんで覆面なんですか?」
エマはそうふとした疑問を呟いた。
「ガハハハッ、最初はおかしいと思うが味が旨いから気にならなくなる。覆面は顔にケガを負っているらしい。」
「すいません。」
(すいません)
口でエマが心の中でライトが呟いた。
「ガハハハッ、俺が言うことじゃないけど気にするな。彼はギルド職員じゃないが、まあ実質的なギルド職員って思ってもらって構わないだろ。お嬢の警護もしてるからな。」
そう陽気なおじさんはいいながら、食事を頼みに向かっていった。
(なるほど、良く分からないが、まあ絶品料理ってことだけを覚えておこう。)
ライトは深く考えることをやめた。
それから、戻ってきた陽気なおじさんとの会話を再開した。
「そう言えば、どうして、そのギルド職員さんは忙しいそうなんですか?いつもこんなものなんですか?」
「ああ、いや、今日が特別だ。今日は事件が二つ発生したからな。」
「怖いですね。ね、ライト君。えっと、どんな事件なんですか?」
そう呑気にエマがライトの聞きたいことを先に言うと
「一個はフロスト地帯の山岳部の方に一部の雪が謎に溶けて、氷になってる場所があってな、炎を使う特殊な魔物が現れたんじゃないかって。そんな魔物いるわけないけどな。でも一応調査するらしい。」
そう陽気なおじさんが答えた。
その返答にライトとエマは震えた。二人はゆっくりと顔を見合わせて目をパチパチさせて、それから息を揃えて呟いた。
「「…………怖いですね。」」
ライトとエマには思い当たる節があった。思い当たる節しか無かった。
「ほ、他にはどんな事件があったんですか?」
エマは話を変えるためそう言ったが
陽気なおじさんは
「この町の入り口付近で、冒険者三人がボロボロの状態で雪に埋められていた。」
どうやら話を変えることはライトとエマにとって悪手だったらしい。
ライトとエマは再び震えた。二人は再びゆっくりと顔を見合わせて目をパチパチさせて、それから息を揃えて呟いた。
「「…………怖いですね。」」
ライトとエマは思い当たる節があった思い当たる節しかなかった。
「ガハハハッ、被害にあった三人は問題児で疎ましく思っている人は沢山いたからな。何はともあれ危ないかもだから、君らも気を付けなよ。」
その陽気なおじさんの心配は、既に遅かった。
二人はゆっくりと顔を見合わせて目をパチパチさせて、それから息を揃えて呟いた。
「「…………はい、そうですね。」」
そんな会話をしているとシチューが届いた。
シチューは非常に美味しかった。
閑話休題
「ああ、えっとブライトさん。ギルドについて聞いてもいいですか?」
先にシチューを食べ終えたライトが割と真剣にそう言うと
「ガハハハッ、もちろんだ。」
陽気なおじさんはそう言って笑った。その表情や返事の速度からライトは、その陽気なおじさん、ブライトさんが良い人であることを確信した。
だから少し安心して質問を始めた。
「そもそも、冒険者ギルドってなんですか?冒険するんですか?」
存在はこの世界に来てからライトは認知していた。それに前世の記憶で似ている概念は知っていた。しかし、実際にどのような仕組みかまでは知らなかった。今まで縁がなかった。
「冒険者ギルドっていう名前は、まあ昔の名残で、今は魔物討伐を主目的としてる組織だ。だから、冒険するというより生態系のバランスを維持する組織だな。」
「といいますと、」
ライトは詳しく話を聞くことにした。詳しく知っていて損はないだろう。そんな考えがライトにはあった。
「冒険者ってのは、まあ言ってみれば魔物を討伐して収入を得てるんだ。その魔物がいなくなると困るわけだ。だから冒険者は冒険者ギルドは生態系のバランスの維持を意識したりしている。だから、冒険者ギルドには、魔物などの買取と、魔物の個体数管理とあとは冒険者同士のいざこざとかを解決するための組織ってことだ。」
「なるほど、他になんか気を付けることありますか?」
興味を持って尋ねるライトと対象的に興味がないのか、エマは、真剣にシチューを食べていた。よく見ると二皿目だった。
「まあ、何か失敗しても死ななければ1回や2回は周りがフォローする。でもまあ、そうだな。冒険者ギルドに、ルールは、いくつがあるが、とりあえず魔物は冒険者ギルドを通さずになるべく討伐しない、このルールは守ってもらう必要がある。ああ、もちろん命の危機とかだったら別だぞ、命が第一だ。ガハハハッ。」
シチューを食べる手をエマは、一度止めて、
「えっと、質問です。街に害を及ぼすみたいな危険な魔物とかいないんですか?」
そう話に入ってきた。
「ガハハハッ、そうだな、そういう場合は、危険な魔物が現れた時は、冒険者総出で駆除したり、大きな町から人を呼んだり貴族様の騎士団を呼んだりするから気にするな。まあそういう危険な魔物に出くわした時はとりあえず、逃げれば良い。」
(冒険者=狩人って認識で良いのかな?安定的に収入を得るためにギルドがあると)
ライトは今までの話を統合して、頭の中で一つ整理した。しかし、この話を聞いて一つ疑問が生まれた。
「まあ、それが大事なのは分かったんですけど、なんでまたそれを一番最初に?」
それは、ライトのふとした疑問だった。もちろん重要であるが、一番最初に来るものではない気がしたのだ。
「うん、ああ、兄さんたちを疑ってるわけじゃないが、最近やってきた冒険者集団が乱獲するからな一応だ。」
「ああ、大変ですね」
どうやら、よそからやってきた人は問題を起こすらしい、もう、2個問題を起こしたエマとライトと同じように。
「そうだな、説明するって言ってもこのぐらいだ。冒険者ランクとかもあるが、この町では上げる手段がないので関係ないからな、まあ困ったことがあれば俺かお嬢に聞けばいい。ガハハハッ」
陽気なおじさんがそう笑うと説明は終わった。説明というほどの長さは無かった。
話がちょうど終わるころ冒険者カードを届けにやってきたギルド職員のサリさんも話を途中から聞いていたのか
「いつでも聞いてください。」
そう言って営業スマイルを浮かべて、すぐに何処かに行ってしまった。忙しいのであろう。
「ありがとうございました。ああ、あと、泊まれる場所ってありますか?」
ライトとエマは寝る場所がなかった。だからついでに聞くことにしたのだろう。ここでよい情報が得られなければ冬場の野宿である。
「宿とかはこの町にない。でも、俺が作った家で今は人が住んでないところがあるからそこに住むとよい。ガハハハッ」
「「大工なんですか?」」
「ああ。ここの冒険者は大体兼業だ。あと賃金は、まあ後でいいからな。とりあえず、それをお嬢さんがシチューを食べ終えたら案内しようか。ガハハハッ。」
「「お願いします。」」
(家をそのうち建ててもらおう)
珍しく1つライトに目標が出来た。
それから、食事代を払い、いろいろあって、借りる家に向かうことにした。案内された家は、綺麗で、家の造りがしっかりしている暖かい家だった。とりあえず住む場所と仕事を手に入れたライトとエマであった。寝るときにベットが1つしかないことに気が付き、小競り合いの結果としてどちらも地べたに寝ることになったのはまた別の話。
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