第4話 私を蝕む本

 足音がした。車が通るの音が聞こえる。うるさいくらいに。

日の光が眩しすぎる・・・と言うか痛い・・・

ヒリヒリと焼ける感覚に襲われる。

「痛い・・・カーテン閉めよ。」

ベットから足を下した瞬間自分の足音がものすごく反響した。

「う、うるさっ!え?何?」

耳にすべての音が入ってくるのがわかる。

「なにこれ・・・」

何もしなくてもいろいろな音が拾える。

「周りの音がめっちゃ聞こえる。お母さんの声がする・・・いつも一階にいるのに。隣にいるみたいに聞こえる・・・」

まさかあの噂って本当だったの・・・呪われるって、これの事?

肌が痛いのもこれのせい?

「早くカーテン閉めよ。眩しすぎる。」

真夏かってくらい眩しい。頭痛くなってきた。このまま学校にいけないよぉ・・・。どうしよう・・・。

「トーカ!そろそろ起きなさい!学校遅刻するわよ!」

「うるさっ!」

「十花!起きなさい!朝ごはん食べ・・・あら、どうしたの?布団にもぐりこんで。」

「頭痛い・・・学校休む。あと大きい声ださないで。頭に響くから。」

「そう・・・。学校に連絡しとくわね?ご飯食べれそうなら降りてきなさいね?」

「うん。そうする。」

母が去っていったことが足音で分かった。

「さてどうしたものか。あ、そういえばあの本どうしたっけ。」

辺りを見渡すと、床に昨日勢いで持って帰ってしまったあの本が転がっていた。

正直この本には触りたくないが、なにかこの状況を打開できることが書いてあるかもしれない。

私は本を手に取りページをめくった。

≪初めてこの能力を身に着けた者は戸惑っている事だろう。この本を通して力をコントロールすることを進める。≫

「やけに親切だな・・・」

≪まずは、聴覚。聴覚強化の力でどんな遠くの音も超音波として帰ってくるようになっている。音の大きさや範囲は集中力を高めれば大きく広くなる。≫

「集中力?耳を澄ませってこと?今はうるさいくらいだし弱めたいのだけど・・・逆にほかのことに気をそらせばいいのか。」

ミュージックプレイヤーで音楽を再生し、ボリュームを最小で流した。そして意識を別のものに向けてみた。

「お!いい感じ!」

そしてまたミュージックプレイヤーに意識を向けるとボリュームは大きくなって聞こえた。

「できた・・・こんなにあっさり?」

とは言いつつもまだまだ練習は必要みたいだ。

ピコン!スマホに通知が来た。

「?!・・・あ、由奈か。」

(トーカ大丈夫?体調悪いの?クレープ当たった?)

(当たってなねぇよ(笑)ちょっと頭が痛いだけ。)

(そかそか!無理しないでね?ノートとってあるから明日見せてあげるね!)

(ありがと。そうさせてもらうね。)

(そういえば昨日の忘れ物って何だったの?)

「げッ・・・そういえばそんな事いったなぁ。」

(ペンケース!ないと勉強できないからさ!)

(あ、そうなんだ!そうだよねぇ。ないと困るよね。)

「純粋な子で良かった・・・」

(そうそう!そういえばね!うちの図書館なんか閉鎖になってるんだって!)

図書館という文字にドキッとした。その気持ちがバレない様に平然と返す。

(図書館?なんで?)

(なんか、図書館のカギが開かなくなったみたいで。今業者に問い合わせてるんだって。)

昨日のことが何か関係してるのか?確かに色々怪奇現象は起こるわ、変な声は聞こえるわで大変な思いをしたけど・・・・

(他になんか聞いた?)

(ほか?)

(例えば、変な声が聞こえたとか・・・・?)

(声・・・?ないと思うけど。)

(そっかそっか。ほら、なんか噂になってたじゃん?)

(噂?あぁ。確かにね!でも特にそんな話ってわけでもないみたいだよ?単純に鍵開かないだけみたいだし。)

(そかそか。じゃあそろそろ横になるね?)

(うん、無理しないでねぇ。おやすみ~)

スマホを閉じると、不意にため息が出た。

「まさかこんな事になってるって言えないしなぁ。」

十花は頭を悩ます事になってしまい、頭痛が悪化してきた。

「やばい・・・とりあえず寝よう。後の事は、起きてから考えよう。」

十花は眠りに就いた。また十花の体に変化が起こることを知らずに・・・





≪この力は血液を必要とする。血液の枯渇は死を招き体が乗っ取られることがあるため気を付けるように。≫

十花はこのページを飛ばしていたことに気づいていなかった。

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