第3話 静かに現れた本

 「はぁ・・はぁ・・着いた・・・」

 由奈を先に返して私は学校に戻っていた。

あの匂いの正体をどうしても確かめたくなって。

なぜかは正直、私にもわからない。ただ本能のままに来た。と言う方がしっくりくる。

「匂いがしたのはこの辺り・・・だよな。」

教室から下駄箱に向かう途中にある図書館。正確には図書室。みんなが図書館、図書館と言うからみんなに倣って図書館と言っている。

私はふと、あの噂を思い出した。

「真夜中に現れる本・・・。」

と言ってもまだ時間は17:38まだ辺りは薄暗い程度。それに・・・

 「夜中じゃないしな、関係ないか・・・ん?誰かいるのかな?図書館で居残り勉強中のやつでもいるのか?」

 ガタッ!

いきなり大きな物音が聞こえたて条件反射で扉を開けた・・・が、そこには誰もいなかった。どころか図書館なのに、本が一冊も見当たらない。

 「ここ・・・だよな?」

物音がしたのに何もないのはおかしい・・・

どういうことだ?混乱する頭を落ち着かせることに必死になる。

ハッと気づいたときそこに本棚があった。

 「え・・・?」

さらに頭の中が混乱していく。

そこになかったはずの本棚がいきなり目の前に現れたのだ。

もはや怪奇現象。

その怪奇現象はそれだけにとどまらなかった。

1つまた1つ本が現れていく・・・

それはまるで図書館を再構築していくかのように。

1冊目の本を手に取った。

 「まさかね・・・」

あの噂が頭をよぎった。

噂によると、ある一族の古文書らしいけど。

≪ヴァンパイアの一族についてここに記す。最初にこの本を読んだものに我々の力を託す。≫

 「ヴァンパイア?力を託す?え?え?どうゆう事?…ウッ!」

突然耳鳴りが聞こえた。しかもかなり大きい。頭がくらくらする・・・。

 「耳が・・・頭痛い・・・。」

(帰れぇ・・・帰れぇ・・・)

「何この声・・・」

(帰れぇ!)

「ヒィ!」

私は怖くなって走って逃げた。ただただ怖くて自分の家の部屋までただただまっすぐ走って帰った。

自分の部屋につくと怖くてベットにもぐりこんだ。そのまま気絶したかのように眠ってしまった。

私の体に多くの変化が起こるとも知らずに・・・。

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