第2話 放課後に漂う血の匂い

 「ホームルームはこれで終了する。最近物騒なニュースが続いてるからな!気をつけて帰れよ!」

最近ニュースでよく変死体が発見されるニュースが相次いでいる。

この町ではないけど、どうやら隣町らしい。

隣町から家まではかなり距離がある。正直関係ないと思っていた。

 「十花!先生の言ってたニュースって・・・」

「変死体の事でしょ?」

「そう!隣町の!」

「隣町とはいっても遠いからなぁ・・・」

「あぁ!あんまり実感わかないんでしょぉ!十花ちゃん可愛いから狙われちゃうよぉ?」

「可愛いは関係ないでしょ!あと私は可愛くない。」

「とか言ってぇ!この前男子に告白されてるの見たんだぞ?」

「なッ!あれは断ったよ!お気持ちだけでって!」

「えぇ!断ったの!?あんなイケメン!もったいなぁ・・・」

「じゃなくて変死体の話でしょ?それと可愛いがどう関係あんのさ。」

「それがね、なんか狙われた人がみんな女の子なんだって。」

「でも変死体なら体がぐちゃぐちゃで性別とか分かんないんじゃないの?」

「それが、みんな干乾びた死体だったんだって!血がなくなったみたいな。」

「なにそれ、ヴァンパイア?」

「みたいだよねぇ。でもその死体に傷口らしいものは残ってなかったんだって。」

「うーん・・・じゃあ違うのかなぁ・・・」

「だから十花も気を付けなよ?次は十花かもしれないよぉ?」

「そんなまさか。」

私はそんな言葉を最後に教室を出た。

廊下に出て下駄箱に向かう途中にある、とある場所から何かの匂いがした・・・

何かこう・・・血のような・・・

 「由奈。なんか変な臭いしない?」

「変な臭い?・・・しないなぁ」

由奈は近くをくんくんと嗅ぐ仕草をしたが、何も感じとれなかったようだった。

私だけ・・・?

「気のせいか。帰ろ?」

「うん。」

結局、においの原因を突き止めずに帰宅することにした。

 「あ!帰りに駅前のクレープ食べに行こうよ!」

「いいね!最近新作できたんでしょ?」

「そうそう!あれまだ食べてないんだよねぇ。」

そんな会話をしながら駅前のクレープ屋に向かった。ただ・・・。どうしても、頭からあの匂いが頭から離れない・・・。身体に、脳に直接訴えかけてくるような。

 「ねぇ!十花聞いてる?ねぇってば!」

「え?あぁ。ごめんボーっとしてた。」

「大丈夫?クレープまずかった?」

「そこは普通体の心配するとこでしょうが!」

「あ、いつもの十花だ。」

「判断基準どうなってんのよ。」

「体調悪い?大丈夫?」

「遅ぇよ!大丈夫。あ、私学校に忘れ物した!ちょっととってくる!由奈は先帰ってて?」

「え?あ、うん。」

「じゃぁね!また明日!」

「明日でもいいんじゃ・・・って行っちゃったよ。」

忘れ物は嘘。ほんとはあの変な匂いの正体が知りたいだけ。

脳に訴えかけてくるあの匂いが・・・・

私は急いであの匂いのする場所へと向かった。

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