其の五十二・自然な眠気

 二日間何もなく過ごした、理恵ももう大丈夫だろう、本でも見させて貰おう。


「玲奈、理恵のところで本を見てくる」

「わかった」


 理恵の部屋のチャイムを鳴らす、理恵が出てきた。


「本を見せてくれ」

「いいわよ、上がって」


 本を何冊か見ていく、いろんな科学雑誌もあるのでペラペラめくる、コーヒーを入れてくれたのでソファーに座る。


「今日はいきなり襲わないんだな」

「いいの?」

「ダメだ」

「相変わらず冷たいわね」

「そうか、そろそろ帰るぞ」

「テーブルの上の鍵を渡しておくわ」

「どこの鍵だ?」

「うちの合鍵よ、勝手に出入りして」

「わかった」


自分の部屋に戻った。


「おかえりなさい、お昼にしましょう?」

「頼む」


 食事が終わると、玲奈が冷蔵庫をチェックし始めた。


「ご主人様、今夜はホルモンがいっぱいあるから、理恵さんも呼んでいい?」

「いいぞ」


 俺はまた電子書籍を数冊買った。


「ご主人様、理恵さんの様子がおかしいの、ちょっと見てきてあげて」

「わかった」


 合鍵を使い部屋に入った、理恵は何かを整理している。


「理恵、大丈夫か?」

「大丈夫よ、どうしたの?」

「玲奈がお前の様子が変だ、って言うから見に来たんだ」

「心配いらないわ」

「わかった、晩飯を食いに来いよ」

「うん、わかったわ」


 自分の部屋に戻った。


「玲奈大丈夫だった」

「だったらいいわ」


 俺がソファーに寝転ぶと、玲奈が俺の頭を持ち上げ太ももに乗せる。


「いいのか?」

「日課だもん、私も好きだし私の役目よ」

「ありがとう」


 スリープモードをセットし眠った。


 十七時に起きると、笑顔の玲奈とキスをした、疲労は完全に抜けている、理恵が来るまで玲奈とイチャイチャした。


 理恵が来ると、三人でホルモンを焼き始めた、理恵の様子は戻っていた。


 食事が終わり二人が片付けを済ませると、理恵は帰って行った、俺も疲れたのでベッドに入った、玲奈も付いてくる。


「ご主人様、もっとスキンシップして」

「急にどうした?」

「最近愛が不足してるの」

「わかった」

「ご主人様、愛してます」

「俺も愛してる」

「ご主人様、目がしょぼしょぼして頭が徐々にボーッとして来ました、これは何?」

「それは眠気というやつだ、そのまま身を任せてみろ」

「はい」


 玲奈が初めて自然な眠気を感じ、寝息を立てて寝始めた、またかなり進化した、暫く可愛い寝顔を見て、俺もスリープモードをセットして眠った。


 スリープモード解除で起きると、玲奈が大きなあくびをしていた。


「ご主人様、生まれて初めて眠気を感じて、自然な睡眠が出来た」

「お前がまた大きく進化した証だ」

「うん嬉しい」

「いい事があったな」

「うん」


 頭を手で挟み、脳を調べた、チップの睡眠に関するプログラムが大きく変わっていた。


「検査結果はどう?」

「やはり大きく進化している」

「私は天才ね、どこまで進化するのかな?」

「もう人間と同じだ」

「やったー、朝ご飯にするね」


 食事を済ませ、時間を確認するとじいさんに電話をした。


『海斗博士、どうしたのかね?』

『玲奈が更に大きく進化した』

『今度はどんな進化かね?』

『昨夜玲奈は自然な眠気を感じて、自然な睡眠を取った』

『そこまで進化をしたのか、ふむ次の会議には玲奈と一緒に必ず出席してくれたまえ』

『わかった』


 電話を切った、玲奈がまた大きなあくびをしている。


「玲奈、眠ければ寝ていいぞ、昼に起こしてやる」

「うん、じゃあ少し寝る」


 玲奈がソファーで寝始めた、俺は理恵の部屋に行った。


「海斗、月曜の会議は必ず出ろだって」

「知っている」


本を見せてもらい部屋に帰った。


 家で電子書籍を読み、昼になったので、玲奈を起こした。


「ふわぁよく寝れたわ、ご主人様自然な睡眠って気持ちいいね」

「そうだろ、昼飯にしてくれ」

「うん、私もお腹が空いたわ」


 食事を済ませると俺も眠くなった。


「俺も寝させて貰う」

「膝枕どうぞ」

「ありがとう、俺も普通に睡眠を取るから、適当に起こしてくれ」

「わかった」


 目を閉じ自然な眠気に身を任せた。

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