其の二十七・初めての企画

 玲奈との生活は充実している、毎日が楽しい、飽きる事は全くない。


 玲奈が完全食とプロテインを、他の部屋に運び始めた。


「どうした?」

「量がかさばるので移動です」

「二種類だからな、仕方ない」


 混ぜて一袋に出来たら便利なのに、と考え研究所で作れるんじゃないかと思い、メモに考えを書き始めた。


 一回り大きくてもいい、完全食とプロテインの混合食、腹持ちを更によくする、栄養価を高める、質は落とさず低価格で販売も視野に入れる、大まかな考えを箇条書きにした。


『アシスト、俺の案はどうだ?』

『実現可能です、当たれば大ヒットです』

『わかった』


 我ながらいいアイデアだ。


「ご主人様、お仕事ですか?」

「仕事になればいいがな」

「頑張って下さい」

「ああ、ありがとう」


 理恵に連絡する。


『ダーリン、なあに?』

『暇か?』

『チップの開発が中止になったから暇よ』

『完全食とプロテインを、一袋にまとめられないか考えていたんだが』

『出来たら便利ね』

『作る事は可能なのか?』

『配分に注意すれば簡単よ、何か案でも浮かんだの?』

『俺は科学者でも開発者でもないから、考えを箇条書きにしてみたんだが』

『送って貰える?』

『今から送る』

『届いたわ、ちょっと読ませて』


 暫く無言になった。


『ダーリンいい考えね、私達にも一般消費者にとってもこれが出来れば嬉しい事だわ、販売価格は売れ行き次第だけど、作ってみる価値は十分あると思うわ』

『そうか、少しは会社に貢献出来そうか?』

『完成すればね』

『お前に頼めないか?』

『もちろん引き受けるわ、企画書を書いて所長に見せてみるわ』

『わかった頼む』

『任せて、私の仕事は早いわよ』

『ああ期待しておく』


 電話を切った。


「ご主人様、もう終わりですか?」

「俺は開発者じゃないから、理恵に頼んだ」

「わかりました、上手くいけばいいですね」

「そうだな」


 暫く理恵から貰ったコスプレ衣装で、玲奈を着せかえ人形にして遊んだ。


「玲奈、今日はこれを着ていてくれ」


 露出の高いチャイナドレスを選んだ。


「これは外出出来ませんね」

「俺の目の保養だ」

「わかりました」


 十四時に理恵から連絡が入った。


『どうだ?』

『所員にアンケートを取ったら、全員賛成で企画書も通ったわ、もちろん企画、発案者はダーリンの名前でいくわ』

『お前に任せてるのにいいのか?』

『いいのよ、私はダーリンの手伝いをしているだけだから』

『ありがとう』

『これから開発に取り掛かるわ』

『わかった』

『ダーリンの案だから妥協はしないわ』

『お前に頼んでよかった』

『いいのよ、じゃあね』

『ああ』


 電話を切った。


「玲奈、俺の企画が通った、理恵が開発を手伝ってくれている」

「ご主人様おめでとうございます、少し休みますか?」

「ああ太ももを貸してくれ」

「どうぞ」


 ミニスカチャイナドレスがエロい、尻を触りながら寝転んだ。


『スリープモード開始、着信があれば起床』


 眠りに落ちた。


『着信、スリープモード解除』


 所長からだ。


『はい』

『理恵君が君のための開発チームを立ち上げた、一流スタッフが揃っている』

『ありがとうございます』

『礼は理恵君に言いたまえ、君の企画はシンプルだが画期的なアイデアじゃ』

『成功すればいいのですが』

『あれだけの開発チームじゃ、失敗するはずがない』

『そうですか』

『成功すれば君も開発者の一人じゃ、しかし理恵君が他人のためにあそこまで張り切るのは初めて見たわい、ダーリンと慕われているだけの事はあるのう』

『何故か気に入られたので』

『まあ君は企画者として待っておればいい』

『わかりました、理恵はもう帰りました?』

『いや、まだ頑張っておる』

『そうですか、わかりました』

『では失礼する』

『ありがとうございます』


 電話を切った、すぐに理恵に電話する。


『ダーリンどうしたの?』

『所長からお前が張り切ってると聞いたからかけてみた』

『成功させてみせるわ、サンプルがあるから帰りに寄ってもいい?』

『ああ待ってる、成功したら何か礼をしなきゃダメだな』

『じゃあ抱きしめて』

『それくらいしてやる』

『やったー、頑張るわ』

『ああ頼んだじゃあな』


 電話を切った、十七時だ起きた。


「玲奈、暫く頻繁に理恵が来るから入れてやってくれ」

「わかりました、晩ご飯の準備をします」

「わかった」


 食事を終えると、暫くして理恵が荷物を抱えてやって来た。


「ダーリン、サンプルは四つよ飲み比べてちょうだい」

 番号札の貼られたサンプルを順に飲む、玲奈にも少し飲ませる、一つずつアシストにも意見を聞く、四番が俺的に良かった、アシストもバランスが一番いいと言った。

「どう?」

「四番がいい」

「私も同じです」

「開発チームと意見が同じね、他に意見はある?」

「もう少しさっぱりしてると、飲み飽きないと思う」

「わかったわ、四番をベースにもう少しさっぱりね」

「所長がお前が他人のために、これだけ張り切るのは初めて見たと褒めてたぞ」

「愛するダーリンのためだもの当然よ、所長に褒められても嬉しくないわ」

「俺も顔を出した方がいいか?」

「完成したら顔を出して、じゃあ帰るわ」


 荷物を車まで運んでやり、ついでに抱きしめてやった。


「ダーリン幸せ」

「これは今日のお礼だ、またしてやる」

「ありがとう」


 理恵が泣き始めた。


「おい、これくらいで泣くな」

「だって幸せなんだもん」

「お前は俺の大事なパートナーだ」

「うん、泣き顔が恥ずかしいから帰るね」


 理恵が帰った。


 俺も部屋に戻り、玲奈と一緒にシャワーを浴びた。


「ご主人様、成功したらまた出世ですか?」

「俺はもう出世はいい、もう三番の地位だからこれで十分だ」

「わかりました」


 翌日も昼は玲奈をコスプレさせて楽しみ、夜には理恵がサンプルを持ってくる日々が続いた、もう完成品としてオーケーを出してもいい感じだ。


『アシスト、どう思う?』

『商品としての完成度はマックスです』

『わかった』


「理恵、これでいい十分だ」

「私もこれで完璧と判断します」

「じゃあ完成でいい?」

「ああ完成だ、ちょうど明日は月曜だ、出社して俺からみんなに伝えよう」

「わかったわ、みんなも喜ぶわ」


 また荷物を車まで運んでやると、理恵が両手を広げた、抱きしめてやる、これくらいなら浮気にならないだろう。


「これは完成祝の抱擁だ」

「ダーリン愛してる」

「全部お前のおかげだ」

「ダーリンが企画したのよ、もっと自信を持って」

「わかった」

「また明日迎えに来るわ」

「ああ頼む」


 理恵が帰った、俺も部屋に戻る。

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