其の二十一・健介の初期改造

 数日間玲奈と楽しく過ごし、平和な日常生活を過ごした、服を買いに行ったり、新しくオープンしたラーメン屋に行った。


「ご主人様、お給料が増えてます」

「ああ知ってる、お前の冬服はいいものにしよう」

「もったいないです」

「可愛い彼女には服も合わせなくちゃな」

「それよりラーメンの方がいいです」

「ラーメンも好きなだけ食わせてやる」

「えへへ、ありがとうございます」


 理恵さんから着信があった。


『はい』

『ヤッホー理恵さんだよ』

『理恵さんテンション高いし声がデカい、頭の中に響いてる』

『うん、よく言われる』

『で、なんです?』

『君のおかげで主要メンバー全員に、体内スマホの装着が出来たよ』

『よかったじゃないか』

『うん、それとね君と私の体内スマホをリンクさせて貰うよ』

『嫌です』

『冷たいなあ、博士の許可は取ってあるよ』

『そうなの? でも何で?』

『科学者として興味があるの、私はまだ二十歳だけど役員になれたのは、科学者としての能力が高いからなの、君とリンクしていろいろ研究させて貰うわ、もちろん個人的な君の秘密は守ると約束するわ』

『わかりましたよ』

『ありがとう、リンクしたわ』

『はやっ』

『私が有能なのは理解出来た?』

『出来たよ』

『ハッカーとしても腕前には自信あるから』

『わかったよ』

『それから伝言だけど、健介のオペが明日あるから見に来て欲しいって言ってたわ』

『それは健介本人から?』

『そうよ、迎えに行かせるわ』

『わかった行くって伝えといて』

『はいはーい』


 電話が切れた、この人と話すと疲れる。


「ご主人様、電話終わりました?」

「お前毎回よく気付くな」

「ご主人様とリンクしてるから」

「そうか、明日健介のオペを見に行くぞ」

「はい」

「理恵さんと無理やりリンクさせられたよ」


 玲奈が青い顔をした。


「許可したんですか? 私理恵さん苦手」

「俺も苦手だが博士の許可が下りたそうだ」

「理恵さんのペースに巻き込まれないように注意して下さい、天才ハッカーで科学者としても有能ですが、思考がはちゃめちゃです」

「わかった」


 翌日佐藤さんが到着したので、一階に下りた、何故か理恵さんがいた。


「理恵さん何で?」

「ヤッホー、いいから乗って」


 車に玲奈、俺、理恵さんの順で乗った。


「君の研究を始めたけど、いい男ね」

「そりゃどうも」

「私と付き合わない?」

「ご主人様を誘惑しないで下さい」

「海斗は私が好みじゃない?」

「顔は綺麗だし、ショートヘアも似合ってるし、スタイルもいいけどダメです」

「ご主人様、相手しなくていいです」

「玲奈ちゃん、私諦めないから」

「諦めて下さい」

「嫌よ、海斗が気に入ったんだもの」

「理恵さん、腕を絡めないで下さい、胸が当たってます」

「君が振り向いてくれるまで離さないわ」

「ご主人様は私のご主人様です」

「まあいいわ、海斗を落としてみせるわ」

「落ちないよ」

「いつまでそう思えるか楽しみだわ」


 研究所に着いた、理恵さんが腕を離さないので、玲奈も反対の腕にしがみついた、そのまま地下二階の手術室に入る。


「理恵君どこに行ってたのかね?」

「ダーリンを迎えに行ってました」

「ダーリンとはドクター海斗の事かね?」

「そうです、彼に恋をしたので」

「恋は自由じゃが仕事をしたまえ」

「はーい」


 やっと腕を離した、玲奈の腕も離させる。


「ドクター海斗、来てくれたのですね」

「ああ、お前との約束だからな」


 健介はすでに裸で手術台に寝ている、オペは先生が担当のようだ。


「では始めるぞ」


 麻酔で眠らされた健介の体を切り開いていく、普通の手術と変わらない、内蔵の半分が人工臓器に変えられた、筋肉も半分以上人工の物に変えられる、目玉も交換し体内スマホも装着され、ほとんど終わったようだ。


 助手達が各部位のモニターを見て、異常なしと言った、体全体に液体がかけられる、皮膚だけが溶けていく、溶け終わると体を水槽の中に入れて皮膚が再生していく、ここが見たかったところだ、体を再び手術台に乗せると、血液の交換が始まった、すぐに終わる。


 ガリガリだった健介がマッチョになり蘇った、まだ細かい検査が続いている、各部位の正常作動が確認されたようだ。


「オペ終了」


 早い一時間しかからなかった、健介が目を覚ました、痛みや違和感を聞かれているが、大丈夫のようだ、俺は声をかけた。


「健介大丈夫だっただろう?」

「はい、瞬きしたら終わってたと言う感じです」

「俺はもっと凄い手術だったらしいからな」

「聞いてます、脳しかオリジナルがないそうですね」

「ああ骨も全部作って貰った」

「今日はありがとうございます」

「いや、俺も見学出来て勉強になった」

「ちなみにダーリンの性欲の強さは、私好みに改造したのよ」


 何故か裸に白衣一枚の理恵さんが立っていた、この人の行動が理解出来ない、健介が股間を隠した、興奮したのだろう。


「理恵、服を着ろ」

「まあ呼び捨てにしてくれるの?」

「喜ぶな、お前は露出狂か?」

「だってここ暑いんだもの」

「健介が困ってる、下着だけでも履け」

「ダーリンは興奮しないの?」

「この状況で興奮出来るかっ!」

「理恵君、ドクター海斗の言う通りじゃ服を着なさい」

「はーい」


 玲奈が白い目で俺を見ている。


「玲奈そんな目で見ないでくれ」

「ご主人様、他の女の裸で興奮しないで下さい浮気者です」

「大丈夫だ、興奮してない」

「知らない」

「玲奈も拗ねるでない、ドクター海斗は興奮していない」

「じゃあ許してあげます」

「ドクター海斗、ちょっといいかね?」

「はい」


 博士が歩き出したので、健介に手を振り付いて行った。


 博士の部屋に行くのかと思ったが、別の部屋に入った。


「ちと狭いが君の部屋じゃ、自由に使ってくれてよい」

「いいんですか?」

「ああ部屋は余っとるからのう」

「ありがとうございます」

「ご主人様、よかったですね」

「あまり使う事はなさそうだがな」


 ドアが開き理恵が入って来た。


「私の隣の部屋なんて運命を感じるわ」

「感じなくていい」

「私Mだから、冷たくされると燃えるわ」

「そんな事どうでもいい、昨夜の一人えっちをバラされたくなきゃおとなしくしてくれ」

「何でバレたの?」

「俺の脳にACチップが入ってるのを忘れるな」

「ダーリンは私より優秀かも」

「博士今日は帰ります」

「わかった、理恵君には気を付けたまえ」

「十分わかってます」

「二人共ひどーい」

「玲奈、帰るぞ」

「はいご主人様」

「ダーリンもう帰るの?」

「お前といると頭が痛くなる、そうだ理恵に頼みがある」

「何でもするわよ」

「チップを酷使した後の精神的疲労を、急速回復させる物を何か作ってくれ」

「わかったわ、任せて」

「理恵君そんな物が作れるのかね?」

「ダーリンの頼みだから何とかしてみます」

「じゃあ帰ります」

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