其の四・博士
玲奈とショッピングモールへ行き、二人で水着を買った、玲奈の水着はもちろん俺の好みのビキニだ、玲奈は俺が選んだ何着かのうち、淡いピンクを選び試着した。
「ご主人様どうです? 似合ってますか?」
「ああ似合ってる」
「じゃあこれにします」
正直下着姿よりエロかった、会計を済ませると、玲奈にクレープとパフェを食べさせてやった、初めて食べるらしい。
「両方美味しいです、ご主人様あーんしてあげます」
玲奈が交互に食べさせてくれた、確かに美味い、流石雑誌にも載る有名店だ、パフェ一つで二千円もするが納得いく美味さだ。
「ご主人様、動かないで下さい」
玲奈の顔が近づき俺の頬を舐めた。
「何だ?」
「ほっぺたに生クリームが付いてました」
「人前では指で取ってくれ」
「カップルなので問題ないと思います」
「わかったよ、他に行きたい店はあるか?」
「また今度でいいです」
「じゃあ帰ろう」
「はい」
暑い中マンションに戻ると、玲奈の携帯が鳴っていた、玲奈が慌てて電話に出る。
「博士、携帯を家に忘れて買い物に行ってました、えへへラブラブです、あっはいいいですよ、はい待ってます」
玲奈が通話を終えた。
「何を待つんだ?」
「博士が私のDNAと血液を採取したいみたいで、これからうちに来るそうです」
「そうか、コーヒーを入れてくれ」
「はい」
「博士はお前の父親みたいなものか?」
「まさにそうですね」
一時間もかからず、白髪の博士が若い男二人を連れてやって来た、全員白衣姿だ。
「博士、待ってました」
「玲奈もう人間と変わらんな、戸籍は用意出来たぞこれが戸籍謄本だ、今日から普通の人間として生きて行きなさい」
「はい、ありがとうございます」
「海斗君はじめまして、私が沼田じゃ」
「はじめまして」
「君のお陰で玲奈に感情が生まれたんじゃ、感謝している」
「俺は何もしてませんよ」
「君の愛が玲奈の心を開いたんじゃ、君にこれをあげよう」
博士が真新しいスマホを渡して来た、玲奈のと同じスマホだ。
「普通のスマホではないぞ、現代科学が作りだした超高性能スマホじゃ、使い方は後で玲奈に聞きなさい」
「ありがとうございます」
「さぁ始めようか、五分もかからん」
若い男が小さなジュラルミンケースから、綿棒が入った瓶を四つと、注射器を取り出した、ジュラルミンケースは冷却装置でも入っているのか、冷気が溢れている。
玲奈は博士の指示に従い口を開け、博士が頬の内側の粘膜を擦っているようだ、綿棒四つで終えると腕から採血をし、ジュラルミンケースにしまった。
「海斗君、君のもいいかね?」
「ええ構いませんが、俺のサンプルなんて必要なんですか?」
「ああ一応な」
玲奈と同じ事をされすぐに終わった。
「これで終わりじゃ、採取したDNAと血液を分析して、新しいアンドロイドに組み込ませる、上手く行けば玲奈のように心や感情を持ったアンドロイドが生まれるだろう」
「あのー博士、第二第三の玲奈が出来る確率はどれくらいですか?」
「まあほぼ確実に出来るじゃろうな」
「そうですか、凄いですね」
「そうじゃな、では私は帰って研究じゃ」
「ねえ博士もう帰っちゃうの?」
「ああまたゆっくり話そうじゃないか」
博士は玲奈の頭を撫でた。
「幸せになるんじゃぞ、海斗君頼んだよ」
と言い帰って行った。
「玲奈、スマホの初期設定をして、簡単な使い方だけ教えてくれ」
「はい」
玲奈が暫くスマホをいじり、設定が終わったようだ。
「ご主人様出来ました、通話は普通の通話とスピーカー通話の他に、三D通話が二種類あります、私からかけますね」
「ああ頼む」
すぐに着信があった、普通に耳に当てる。
『耳から離して三Dボタンを押して下さい』
言われた通りにすると、画面から立体の玲奈が現れた。
『もう一度押して下さい』
同じボタンを押すと、目の前に等身大の玲奈が現れた。
『これで終わりです、切ります』
通話が終わると三Dの姿が消えた。
「すげぇな」
「他にも便利なアプリがたくさんあるけど、全部説明してたら日が暮れるので、ご主人様で試してみて下さい」
「わかった、使いこなせる自信がないや」
「大丈夫ですよ、後充電は太陽光や部屋の明かりで出来るので放って置いて大丈夫です、一時間の充電で一週間話し続けられます」
「そんなに電池の持ちがいいのか、充電の手間が省けるな、それだけでも俺には十分だ」
「ロック解除は虹彩認証で出来ます」
「わかった、ありがとう」
カメラを起動していじってみた、普通と透視とXモードがある、透視を選択して玲奈を見たら、服が透けて全裸が映った、XモードはX線写真だ、すげぇなと思いながら普通モードに戻し、玲奈の笑顔を撮って待ち受け画面に設定した、音声アシスとも付いてるようだ、アシストと呼ぶだけで起動する。
「どうです、ご主人様?」
「とりあえず基本は覚えた」
「それでいいです」
「今夜は玲奈の戸籍が出来たお祝いに、外食でもしよう」
「はい、嬉しいですお肉が食べたいです」
「わかった、席が空いてるうちに行こう」
「はい、いつでもいいです」
まだ十七時だったがすぐに出かけた、焼肉のチェーン店に入り、盛り合わせセットを二人前大盛りで頼んだ、玲奈はとにかくよく食べる、単品でいくつか追加注文した物もぺろりと食べてしまった。
「俺の負けだ、そんなに食って大丈夫か?」
「はい、私もこれで満腹です」
「じゃあアイスでも買って帰ろう」
「はい」
帰りにコンビニに寄り、アイスを物色していると声を掛けられた。
「おーい真田カップル」
誰かと思えばクラスの男女四人だった。
「よう、何か用か?」
「今度一緒に海に行かないか?」
「玲奈どうする?」
「ご主人様におまかせします」
「わかった、いつ行く予定だ?」
「来週の火曜」
「わかった、細かい事はLINEで教えてくれ、時間はお前らに合わせる」
「了解、じゃあな」
再びアイスを選んで買って帰った。
「ご主人様、楽しみですね」
「そうだな、学生最後の夏休みだしな」
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