第6話 革命前夜

やっとの思いで学園に来たら防衛のための魔法が発動し攻撃されて、一部をちょっと抉ってしまったけど。

学園長先生が現れたのはいいけど、顔色が悪そうだったが 大丈夫だろうか。

流れで案内してもらったが、ずっと震えていた。トイレにでも行きたかったのだろうか。


「アルト君。弟子に合わせたかったのだけどいないのよね。」


「そうか。じゃあ当分。この都市にいるか。」


「なら。先生になったら?」


「えぇ。いや私にはそういうのはできないな。自分の魔法理論を伝えるのはできるが、教えることはあまり得意ではない。」


昔からそうだ。私は、独特の感性でエルフにも教えたが、ダメだった。


「まぁ。そうだと思ったわ。でも、弟子を取るのも一興よ。」


「考えておくよ。」


確かにその通りかもしれないな。


「それで、これはなんの授業なんだ?」


「うん?あぁ。どうしても人間は魔力を発動させるのが、苦手だからね。それで、それを克服させるには慣れるのが一番ね。」


「そういうことか。しかし、1人だけ得意そうに見えるが。」


「あの子かしら?」


そう言って、1人の男の子を指した。


「いや、その子じゃないよ。あっちの子。」


「そうなの?あの子、出来ていないように見えるけど。」


「彼女、かなりの魔力コントロールだよ。でも、惜しいね。魔力の保有量が少ない。」


「流石、アルト君ね。ってちょっと。」


僕は、彼女に近づいた。


「君。名前は?」


「私は、ウルです。それで、何か用ですか?」


「ちょっと、手を出して。」


彼女は恐る恐ると言った感じで手を出した。


僕は、彼女と魔力を繋げた。


「これで、魔力をコントロールしてみて。」


「は、はい!」


彼女は、自分の100倍以上の魔力をコントロールしてみせたのだ。


「これは!」


「ウルはすごいよ。これだけの魔力コントロールは見たことがないよ。」


これだけ魔力コントロールができれば、魔力の放出に関しては問題ない。


「これは。」


「そうでしょ。彼女はまごうことなき天才だね。」


「アルト君、もうそろそろ離してあげて。彼女、辛そうよ。」


今にも、気絶しそうになっている。


「ごめんごめん。でも、これをきっかけに何か掴んでほしいね。」


「は、はい。ありがとうございます。」


彼女は、初めてのこれだけのコントロールをしたんだ。相当、精神力を消耗したはず。


「今日はこの辺にしましょう。みんな、教室に戻って。」


「研究室に来てくれる?」


私は着いて行き、ソファに座った。


「それで、かしこまってどうしたの?」


「やはり、アルト君。教師としてやってみない。」


「またその話?それに関してはお断りだよ。」


「さっきの見た時に確信したわ。臨時講師として少しやってみない?」


翌日、僕はルナ姉さんには勝てなかった。

僕は教壇の上にいる。


「自分は、これから魔法理論を受け持つアルトと言います。よろしく。さて、まず質問だ。魔法理論はどこまで習った?」


「すみません。魔法理論とはなんでしょうか?魔法のひとつですか?」


「おい。お前ら。それを本気で言っているのか?」


私は、少し魔力を出しすぎて威圧する形になってしまった。かなり怯えているみたいだ。

ただ、この反応を見ている限り本当のようだな。


「はぁ。姉さんはこれを見せたかったのか。」


僕は、惜しみなく教えることにした。


後に、この年を魔法革命と称される年となった。




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