第5話 side change
学園side
「どうしますか?ドラウ学長。」
「どうするも何も。あれを倒されてしまっては、私が出るしかないわ。」
気が進まない。でも、この学園の教師の中で最強格のレニーがやれてしまっては仕方がないわ。
「生徒の避難準備は終わっている?」
「はい。ほぼ終わっております。」
「私が合図したらすぐに避難して!」
「はい。学長も気を付けて。」
私は、部屋を出て向かった。
どうやら不審者は校門から入って本棟の方に向かっているのか。しかし、先ほどから魔力が揺らいでいて捉えにくい。
さて、私に気づいたようだ。
「やぁ。君は誰かね。」
「うん?あぁ。やっと会話できる人がいたよ。私は、アルトと申します。あなたは?」
「私は、ここ龍皇学園の学長のドラウだよ。君は、先ほどから喋っているのは古エルフ語だね。それは、分かる人は少ないわね。」
「そうか、だから伝わらないのか。しかし、何故他のところでは伝わったのか?」
彼は何か悩んでいるようだ。
「それで、エルフの君がこの学園になにかようかな?」
「そうだった。ルナ姉さんに呼ばれているんだった。学園長はルナ姉さんを知らないか?」
私は、思わずため息をついた。どうやら礼儀を知らないようだ。
しかし、そんなことをしていてもどうにもならないしね。
私は、案内することにした。
「こっちだ、付いて来な。」
どうしてこんな怪物を彼女は呼んだんだ。
私には、分かる。魔法を極める道に進む者として、彼から迸る魔力の流れで。
多分、いや必然的に、私は戦いを挑んだらすぐに倒される。本能的に理解できる。
一難去ってまた一難。胃に穴が開きそうだ。
「ルナ先生。連れてきましたよ。あなたにお客さんのようです。」
「ありがとうございます。学園長。」
「では、私はこれで。」
私は、そろそろ胃に穴が開きそうなのでさっさと部屋に戻ることにした。
「学園長。大丈夫でしたか。」
「生きた心地しなかったよ。あのまま戦ったら即倒されていたね。後は、ルナ先生に全て丸投げです。」
「そうですか。では、こちらをお願いします。」
私は、秘書のベラから書類を受け取った。
「今回の被害とその金額です。」
正直、見たくないものだった。明らかにゼロの桁数が多すぎる。
「うーん。政府の方に出しといてください。」
「そうだろうと思いましたので。こちらに資料をまとめておきました。」
相変わらずこの子は優秀だな。あぁ。平和に生きたい。
「後は、こっちの仕事か。今から頭を下げに行ってくるよ。」
損な役回りだな。実に、不公平だ。
こういうのは、大人の役目。未来有望の若手の育成も進めなけないといけなくなったな。
彼は、正直異常だ。正直、彼がこの学園をいや国を滅ぼすために来ていたら勝ち目はなかった。
同盟を組んでいるエルフの民で良かった。エルフはあんな化け物をいつの間に育て上げたのだろうか。
私は考えすぎなのか。政治の世界に少しでも干渉しているのだ。疑い深くなるのも当然だな。
とりあえず報告してからだな。
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