友達の痴態 5/27

「あぇ~っ、ら、ラメらぁ。もぉ、これ以上はぁ」


 生涯、友達のアヘ顔を忘れる事はないだろう。

 病室にきた僕は、リョウマがベッドの上で悶えているのを見つけた。


 不自然に膨らんだ布団の膨らみは、上下に動いていて、端っこからは生足が二つはみ出ている。


「てん、……めぇ」


 怒りが湧いてきた。


「は、はわわぁ! 見られてるよぉ! 友達にぃ、えっちな所を見られてるよぉぉぉっ!」

「っせえんだよ、ボケ!」


 僕の声で、布団の中にいる人物は、とっくに第三者の存在に気付いているはずだが、行為を止める気配がない。


 こいつは、あろう事かカンナさんという者がありながら、浮気をしていたのだ。


 しかも、だらしなくベロをダラして、白目を剥き、見事なアヘ顔を僕に披露する始末。


「お前。カンナさんに酷い事言ったんだってな?」

「へあぁ? 言ってられないよぉ」

「あぁっ! イラっとくるなぁ男のアヘ顔って!」


 友達の情事で興奮する余裕はなかった。

 段々と怒りのボルテージが上がり、こいつは何を考えてるのか、さっぱり分からない。


 とりあえず、当初の予定通り、頭を一発、二発、三発ほど、怒りを上乗せしてぶっ叩いた。


「痛いよぉぉ!」

「うるっせぇんだよ! お前のせいでな! こっちは、死にかけたんだぞ!」

「らんのことぉ?」


 もう一発、ぶん殴っておいた。


「キレまくった双子に、こっちは殺されかけたんだ」

「はぁ、はぁ、でも、付き合えたんだろ。うっ、よかったじゃないか」


 気が散るなぁ。


「ああっ! 連続だなんて!」


 さすがに怒りの頂点に達してきたので、僕は布団の膨らみに座り、リョウマの胸倉を掴む。


「ん˝ぅ˝ッッッッ!」


 スッポンのような顔で、小刻みに震えるリョウマ。

 布団の中にいる誰かは、ジタバタとしていたが、構わない。


「いいか? お前、友達を裏切ったんだぞ!」

「う、裏切ってない!」

「じゃあ、何であんな酷い振り方をしたんだよ! タイミングからして、絶対にわざとだろ! 言え! 誰かに、そそのかされたんだろ!」


 リョウマは涎を垂らしながら、僕の股間を指す。

 いや、違う。

 僕の下敷きになっている人物を指しているのだ。


「こいつに、言われたんだな?」

「ん˝っ! ん˝っ!」

「ようし。ご尊顔を拝もうじゃないか!」


 リョウマの上から退いて、布団を捲り上げる。


「……予想はついてたけど。マジでか」


 股間に顔を埋めていたのは、蕩坂さんだった。

 僕は放心状態で、フルスイングのビンタを八つ当たり気味に、リョウマの頬にお見舞いした。

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