第5話 家で死ぬほどビビった
今日は災難な1日だったな。
綾霧には戦えと追いかけ回れるし、体育の授業では須崎先生と綾霧のせいで学年の半分の生徒に模擬戦を見られるし。
もう疲れたし帰って寝るか。
そう思い、俺は自転車を漕ぎ家に帰る。
☆☆☆☆☆☆☆☆
「は?」
家に着くなり一言目はソレだった。
何故ならヤツがいたのだ。
そう、綾霧唯が……。
「あ、やっと帰ってきたわね!待ちくたびれたんだから」
どうやら俺を待っていたようだった。
コイツなんか知らんけどエプロン持参して料理を作っていた。
その姿を見て俺の体はもちろんフリーズしていた。
そりゃそうでしょ!?
今日初めて会ったヤツが俺の家でエプロン付けて料理作ってるんだぜ!!
そりゃビビるに決まってるだろ!?
「…何とか言いなさいよ。こーんな美少女がエプロン着てアンタの為にご飯を作ってるのよ?」
「……いや、俺頼んでねーし」
「頼んでなくとも感想の一つや二つ位言いなさいよ!」
理不尽だ。
本日2回目の言葉を漏らす。
「いや、お前も今日初めてあったヤツが自分の家に上がり込んで帰ったら料理を作っていたって設定濃密過ぎるだろ!?」
俺がそうつっこむと綾霧は少し考え込む素振りを見せ、
「…確かにそうわね。私だったらめちゃくちゃビビるわ…」
「そうだろ?そう言うことだ」
「…まぁ、とりあえず着替えろ。話はそれからだ」
☆☆☆☆☆☆☆☆
俺と綾霧は机を挟み、向かい合うように座っている。
コイツに色々と問い詰めるためだ。
ちなみに、制服に着替えてもらった。
「まず、どうやって俺の住所を知った?」
「…あ、あの、とある人に聞いて…」
「とある人って誰?」
「………」
なるほど。
答えることは出来ないと。
そう思っていると
「…
その言葉に俺は頭に手を当てて絶望する。
何故なら皆川
生徒の個人情報を売ることはないと思っていたが…そんなことはないらしい。
「わかった、次の質問だ。何故エプロンを着てたんだ?」
「うーん、その場のノリ的な?」
「ノリでエプロン着るやつなんて初めて会ったぞ!?」
思わずつっこむ。
「…実は、皆川理事長にもらいました。」
また有栖か…もうコイツは懲り懲りだ!
4年前に知り合ってからアイツにことある事に悪戯されたり、ちょっかいを掛けられたりしていたのでかなりウザかった。
まさか、ここまでするとはやばいな。
後で釘を刺しておこう。
「で、3つ目だがどうして俺と序列戦がしたいのかということについてだ」
「…私は強い人と戦って強くなるために皆川理事長に相談したら貴方の事を教え貰った」
アイツめ…。
しかし、どこまで知っている?俺の能・力・までは教えてはないだろうが…。
「有栖にどこまで聞いた?」
「貴方が皆川理事長より強いということだけです」
それだけか。
流石に有栖の飽くなき悪戯心があったとしても俺の能力までは教えなかったか。
まぁ、知りあった縁だし格闘術位は教えてやるか。
「有栖の紹介ならしょうがない。いつもだったら断るところだが格闘術くらいは教えてやるよ」
「ホント!?やった!」
綾霧ははしゃいでいる。
不覚にも可愛いと思ってしまった。
だが、俺が使える格闘術は
両方とも怪しまれるが、皆川流格闘術の方がいいか。
「明日から放課後に模擬戦場に集合だ」
「わかった!」
「よし。じゃあもう帰れ」
俺は時計を見る。
するともう6時半を回ろうとしていた。
だがちょうどいいくらいだろう。
「おっけー!またあしたね!」
「ああ。じゃあな」
そう言い綾霧は帰りの支度を始め、5分程度で俺の家を出ていった。
はぁ。
そう実際にはしないがため息を心の中でする。
残念ながらまだすることがあるのだ。
☆☆☆☆☆☆☆☆
綾霧を見送ったあと、俺はスマホを取り出し、とある電話番号にコールをかける。
意外にもすぐに出た。
俺が電話をかけた相手は忙しいのですぐには出ないだろうと思っていたからだ。
『もしもし?』
「もしもし、有栖か?」
『ああ。』
そう。
俺が電話をかけた相手は皆川学園理事長皆川有栖だ。
なぜならと聞かれると綾霧の件についてだ。
「おい、お前綾霧に変なこと吹き込んだだろ?」
『おや、もうバレたか……クソ、もう少し粘れると思ったのに……。綾霧め私を売ったな!』
「お前、そもそもなんでスペアキー持ってんだよ!?そのせいでマジで死ぬほどビビったんだからな!?」
『海人を驚かすために決まってるだろ』
クソ。
かなりイライラする。
だが、ここは抑える。
「なんで俺が強いと教えた?」
『彼女はとある理由があって強くなりたいと相談してきた。普段なら他のやつに頼むが、事情が事情だし彼女の真っ直ぐな目を見ると海人に頼みたくなったので、ついでに嫌がらせしたまでだよ』
「何がしたまでだよだ。そっちが六割くらいあるくせに」
『否定はしない』
「それで、事情って何?」
『それは私の口からは言えない。彼女本人に聞くしかないよ』
「上・の指示か?」
『ああ』
「それならしゃーなし。ホントは俺、辞めてるんだけどな」
『それが許される立場じゃないだろ、海人は』
「それもそうだな。まぁ、聞きたいことはもう特にないな。なにか連絡することはあるか?」
『こちらも特に異常はない!何かあったらすぐに連絡するよ』
「ああ、そうしてくれ。じゃあな」
『うん、またかけてくれよな』
その言葉を最後に互いに通話を切る。
事情ね。
何か闇が深そうだな。
そう思ったが今気にしても仕方ないなと気持を切り替え、やる事をやって俺は眠りについた。
世界最強の学園生活 海ゅ @umyu1756
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