第4話 Br Bl Po (1)

今回の敵はC国軍。かなりの強豪で、N国軍である彼らが勝利したことは圧倒的に少ない。

 カウントダウンが30秒を切ったところで、戦闘ステージが映し出される。そこは、今にも崩れ落ちそうな高層ビルがいくつも並び、車など潰れたものも多数ある。地面のコンクリートがひび割れ、雑草はえ散らかし、ライフラインなどが機能してなさそうなステージだった。

 孝徳タカノリたちN国軍は東側、C国軍は西側という配置になる。ざっと敵軍情報を確認したところ、C国軍の兵装は突撃銃アサルトライフルを基本とした近接戦特化の人間が多い。

「こりゃ、後ろの狙撃手にできるだけほうむってもらう必要がありそうだな」

 孝徳は小さくつぶやく。もちろんこの呟きは、ヘッドホンをしているクラスメイトには聞こえない。

 それはともかくとして、自分の果たすべき役割を考え、実行することに集中する。

「開始3秒前ー」

 ヘッドホン内から伝わる担任からの一声。

 クラスメイト全員は臨戦体制に入る。

「開始!」

 その合図とともに、一斉に行動を開始する。

と、同時にヘッドホンによるクラスメイト同士の通信もオンになる。

 C国軍はやはりアイテムボックス狙いで、前線に一気に上がってきた。

「それじゃ、俺たちも行きますか。ケツは任せるぞ波川」

「了解だ」

 孝徳が操るα1(アルファ・ワン)と菱田ヒシダのβ3(ベータ・スリー)が先行していく。和佳カズカのγ4(ガンマ・フォー)は、廃ビルの屋上に陣取ろうと、階段を駆け上がっていく。

「まだ待って、こっちの準備が終わってないわ」

「なら急げ、アイテムボックスやら戦車やら盗られればこちらが不利になる」

 孝徳は和佳の制止を振り切ってα1を最前線に駆けさせた。荒れ果てた地の障害物をものともせず軽やかに進んでいく。

 それはひとえに孝徳の操作技術の高さによるものでもあるが、それ以上にα1のラグのない動きによって実現できている。

 これが、他のキャラクターだとラグが起こり、途中で止まってしまう場合もあるので、彼からすれば大いに助かっている点である。

 実際、菱田のβ3は途中ラグがあり、足を止める動作があった。

 孝徳は目的地である最前線近くの廃車の前で陣取じんどると、それを盾に突撃銃アサルトライフルのセレクターを連射フルオートに設定し、乱射させ始めた。

 敵は十。こちらに気づかれる前にってしまおうと言う算段だ。

 それは成功し、彼らがこちらの位置を特定する前に十体殺すことに成功する。

 だが、その後ろにひかえていた敵別部隊が、やり返すようにα1の方に集中砲火してきた。

 孝徳はうまく射線を外しながら牽制けんせい射撃を行い、後方のビルに逃げ込む。

 階段を駆け上がりながら、弾丸が薬室チェンバーにある一発を残し弾切れとなったため、空弾倉マガジンを跳ね飛ばし、全弾詰まった弾倉マガジンを装填。一応、段数確認のためにボルトを引き薬室チェンバーチェックを行った後、階段下から追いかけてくる敵をむかえ撃つ。

 上にいる方がもちろん有利ではあるため、楽々と敵三体を仕留めることに成功。だが、その他の七体は不利だと判断したのか、階段を引き返そうとする。

 が、敵の足が途中で止まった。

 最後尾の敵隊員が一粒スラッグ弾によってキルされたためだ。

「応援に来たぜ、相棒」

 菱田のβ3だった。孝徳はそれに頬を緩ませることなく、眼前の敵の掃討そうとうに入った。

 ものの5分もしないうちに、敵掃討を完了する。

 そしてそのままビルから出ると、再びアイテムボックスに向かって走り始めた。

 いまった奴らも、その前にった奴らもクールタイムを終えれば再び前線に上がってくる。その前に、前線そこを押さえておきたいと言うのが二人の考えだった。

 他の味方近接戦部隊もα1達と同経路でアイテムボックスの確保を目指して進軍するが、ほとんどがられていた。

 その頭を貫通するように流れていたのは弾丸だけでなく、一筋のレーザー光線。

狙撃手スナイパーか!?」

 菱田が声を上げる。

 レーザー光線を放つことは射手の位置や目標がバレる危険性があるが、なぜかこの世界ゲームではそれをつけた方が弾丸の威力と精度が上がるという効果があるため、使用する人間がいる。

「ともかくレーザーから射手位置を特定して、け切るぞ」

「了解」

 α1とβ3が各々おのおの、射線に入らないように車などの障害物に身を隠しながら、前線へと上がっていく。

 ガヴン!

 空気を切り裂き、障害物としていた車の屋根に弾痕だんこんが空く。そこは、α1が顔を出していたところで、あと三ミリずれていれば直撃していた。

「あぶねっ!」

 孝徳はα1の身をかがめさせたことでなんとか直撃を免れた。菱田も同様にして、β3をα1のいる場所に近づける。

「さっきのは危なかったな。狙撃手スナイパーか?」

「ああ。レーザーサイトを射出していない。さっきの奴と違って射手の位置を判別しずらいな」

 そうこう会話をしていると、右側からレーザーが飛んでくる。それは車を反射しており、もう少し左に動かせばα1たちが撃たれる位置にあった。

「くそっ!かこまれてんじゃねえかよ!」

 菱田が吐き捨てた。そのまま、遮蔽物しゃへいぶつである車のかげから出ようとする。

「出るな!」

 だが、孝徳はそれを制止する。菱田はそれにびくりと肩を上げ、β3の目線をα1に向ける。

「出れば、さっきのレーザー無しの奴に撃たれちまう。ここは、この車を盾に動かないでおこう」

「だがさあ、このままだと最前線に出れねえじゃねえか。どうすんだよ」

 レーザーを射出する狙撃手スナイパーの弾丸が廃車に直撃する。場所移動はまだしてないようで、やはり奴の目的はここに釘付くぎづけにすることのようだ。その内にレーザー無しの奴が移動してこちらを狙撃できる場所を確保する、もしくは、我慢ならず顔を出したところを狙撃する、と言う算段のようだ。

 どちらにせよ、レーザーのやつを無力化しないわけにはここを突破できない。

 ならば。

「こっちにだっているだろ?狙撃手スナイパー。そいつに対処してもらうまでさ」

 孝徳は特定の終わった、レーザー狙撃手の場所を和佳に送る。

「γ4、位置は送った。そこから当てれるか?」

「大丈夫、これくらいの距離なら多分当てれるわ」

 やはり狙撃の腕にはまだ自信がないのか、言葉をにごす。

「多分じゃダメだ。絶対当てろ」

 孝徳は言葉を強めた。菱田はそれに対して苦笑いを浮かべる。

「鬼かよ、お前は」

 すると、先に業を煮やしたのは敵の方のようで突撃銃アサルトライフル部隊が急接近し、遮蔽しゃへいの車に対し乱射してきた。

「おい、もうこれリンチじゃねえか!他の奴らはどうなってんだよ!」

 菱田が耐えきれず声を上げる。孝徳も同様に和佳に対して怒号を上げる。

「γ4、狙撃まだか!?」

「ちょっと待って、まだ照準が正確に合わなくて・・・・」

「早く撃て!このままだと俺たちどころか、後方の奴らまで蜂の巣にされるぞ!」

 和佳はその声を聞いて、必死に照準を合わせながら舌打ちする。

「もう!無茶言わないでよ!」

 和佳は目標を見えて一つ息を吐くと、引き金を引く。その弾は頭に《ヘッドショット》命中し、レーザー狙撃手を即死させた。

「やった!当たった!」

 うまく当てれたことに喜ぶ和佳。だが、孝徳の声はまだ荒々しいものだった。

「喜んでる場合じゃないぞ!次はこっちのアサルト部隊を殺ってくれ」

 α1はアサルトライフルの、β3はサブマシンガンの銃口マズル遮蔽しゃへいから出し、敵小銃部隊に向かって連射する。敵何体かの戦死が画面右上に表示されるが、なんせ身を隠しながらの攻撃で照準が合わせられないため、全ての敵を正確に撃つことができない。

 そこで、孝徳は作戦を変更する。

「β3、俺のケツは任せてもいいか?」

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