第11話魔法か幸か不幸か
「それで私に用って何かなー? ク・レ・アちゃん」少し冷静さを取り戻した母さんが、半ば脅迫じみた負雰囲気でクレアに問う。
クレアはガクガクと体を震わせながら「ひいっ・・・。すみません」と力なく返事をした。
いや、そこで謝る必要はないだろ。
どうやら、母さんの豪快な怒りっぷりがよほどトラウマになったらしい。
うん、無理もない。同情するよ。
超天才ふにゃふにゃなんとかのクレアは、怯えた様子ではあったが、しばらくしたら落着きを取り戻せたようだ。
少しの間を置いてから、意を決したようにクレアが口を開いた。
「私、魔法が強くなりたいんです! 昔から、私には魔法しか取り柄がなくて・・・。ううん、違う。私には・・・、それ以外のことが出来ないんだわ・・・」そう言う彼女は、どこか苦々しい過去を抉りながら語っているように見えた。
「だからその・・・。私が魔法で強くなるために[ルーンの申し子]と称される、そのアン様。あなたに魔法を教えて頂きたいのです!」それは、一人の少女が勇気を振り絞って発した言葉であった。
「ええ、いいわよ」
「そうですよね・・・、私なんかに魔法を教えて頂けるはずなんかないですよね・・・、ってえええー! あっさり了承したー!」
彼女は目を見開かせて驚きの表情を受けべた。
「そんなに驚くことかしら?」
「そりゃ驚きますよ! だってあのアン様ですよ!?」
「魔法やルーン文字の研究分野に置いて、その名を知らぬ者はいないとまで称され、いつしかエリーゼア王国にアンありとまで謡われるようになった、そのアン様に教えて頂けるなんて・・・。どうしてですか?」
「う~ん、そうね~。あなたに魔法の才能があるかどうかはまだ分からない。けど、あなたみたいにやる気のある子には、私としても教えがいがありそうだからかしらね」
「それにこんなに真剣に頼まれてしまったら、断れるはずなんかないでしょ」
「だから、これからよろしくね。クレアちゃん」母さんは右手を差し出し握手を求める。
クレアの表情に光が差し込めていく。
「はい! よろしくお願いします!」彼女は母さんの右手を握り占める。
「ただし、アレンとは仲良くしないとタダじゃおきませんからね」母さんの顔から威圧のオーラが放たれる。
「はひいーーー・・・、気を付けます」
まだちょっとトラウマになってるみたいだな。
「クレア、僕からもよろしくお願いするよ」
「ええ、よろしくお願いします」
彼女はそう言いながらも、母さんにはバレないように、意地の悪く舌を出した。
コイツなんかムカつくな!
どうやら君とは末永く仲良く出来そうで、僕も嬉しいよ!!!
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