Another Hero
北風が吹く冷たい夜。
煙草の煙が静かに
ロン毛の
難攻不落で水平対向なコンビが、血に
許してはいけない
庭園側の勝機が
見え隠れする死への
「残り十人ってところか
十か……
オレの歳とあんま変わらんな」
「ん……?!」
利刃の言葉で、岸が二度見する。
そのとき――――
「ふざけんなよ制圧本部
一人の能力者が、青白い電撃を放電する。
触れれば感電死であろう電撃が、二人の油断を狙って、襲いかかる。
それは恐らく回避不可能だ。
「おい岸、避けろッ!!」
「
これァやべぇ、避けらんねぇ!!」
二人のコンビに危機が迫る。
そのとき、利刃の無線が不意に響く。
『利刃さん、岸さん
すんません……良いとこ取りします
「うるせぇ!!
それどころじゃねぇよ!!
テメェ誰だよ、あ、山軋か
オマエ、無線のタイミング考え――――」
すると、利刃と岸との間隔、およそ1mほどの隙間を銃弾が通過する。
そのスピード、まさに
庭園にとって、最大の
利刃と岸の視点から
「うお……ッ」
一瞬の出来事に、利刃も思わず
銃弾は、能力者の胸元を貫通、見事に命中。
そして電撃は、次第に静かに
「や……
ナイスフォローだぜ」
「どうもです
最低限のフォローはするんで、暴れちゃってください」
狙撃銃を構え、スコープを覗くのは『
鍛え抜かれた強靭な肉体と精神、
そして山軋は、そのパーマ掛かったリーゼントを手で整えると、再び
「じゃあな……庭園の能力者
脳天に風穴あけてやッからよ、どうか……楽に天国行ってくださいな」
はずむ銃声のリズム。
七つ、八つ、九つ、と続く銃声がビートを奏でる。
戦場は、いつしか山軋の遊び場、
「残るはアンタ……ただ一人だけだせ??
庭園のリーダー格さんよォ」
自信満々な気迫で、利刃が一歩前進。
能力制圧本部側は、現在のところ優勢。
「ボクが一人になれば、勝ちの目しかない戦いだと思ってるでしょ??
そういうの……
生き残ったリーダー格『
そのとき、利刃が辺りを見回す。
「なんだ、なんか曇ってきやがったな……霧か??」
白く
足元の地面が、ジメジメとした水辺になる。
水辺に咲くのは
これらは、何も無いところから、そして気づいたときには――――既にそこにあった、出ていた、という不思議で不気味な現象だ。
紛れもない能力者の能力だ。
「ほら、だんだん辺りが曇ってきているよ??
ねぇねぇ制圧本部のオッサン、この霧……ただの霧じゃないから、気をつけてね??」
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