理不尽な正義
「
第二課から、周辺閉鎖の申請が通りました
現在対応してるのは
「依頼してから三分か
第二課にしちゃ早い方だな
よし……サンキュー
環状線をサーキットに見立てた
ナイフのような北風に煽られながら、能力制圧本部の『
「おまえ……もう逃げ場なくなったな?? 」
無造作なオールバック、中途半端な
彼が所属している課は第一課。
第一課とは、我先にと戦場に立ち、最前線で命を張る戦闘部隊のことである。
「ボクをどうするつもりなの?? 」
少年は不機嫌そうな顔で質問する。
「まァ……その身で確かめろ」
利刃は、
「そ、そんなの……ヤだ……
なんで……なんで、ねぇなんでボクは……
なにか悪いことでもしたの??ㅤ」
「おまえは能力者であって、法律違反者でもあるんだが」
「そんな……
人を能力で助けることは……そんなに、そんなに悪いことなの?! 」
「人を助けようが何だろうが
能力持ってりゃ誰だって等しく悪だろうが、な??
だから、すこし痛い目見てもらうね?? 」
そうして利刃は、十字架のペンダントを右手の
少年の顔辺りに、十字架が重なるよう
「
利刃が呟いた。
呟いてからコンマ五秒後、指に吊り下げていた十字架のペンダントが、十文字の刃をした大剣に変化する。
大太刀のように反った三つの刃――――まるで十文字槍の
「なに……なんなのッ、その大きな剣……?! 」
十文字の刃を見せられた少年。
本当に
そして利刃は質問に答えた。
「これはオレの
能力者を殺すための武器なんだがね」
絶対戦術とは、能力制圧本部に所属している職員のみ、所持と使用が許された武器のことである。
通称『
「ほら、大人しくオレに制圧されようね?? 」
利刃は、少年の首辺りに、刃の切先を当てる。
「え……」
少年は、見えない死の足音を聞いたのか、言葉を失う。そして、今すぐ利刃から逃るため、表通りの雑居ビルへと走り出して――――
「おぉ、逃げんな能力者ァ!! 」
「痛ッ……あぁぁ」
利刃は、十文字の刃を振るい、少年の背中に刃を食い込ませた。
そして、少年の返り血を浴びる。
「ヤだ……こ、こないでッ……!! 」
利刃は、刃を引きずりながら、座り込んだ少年の元へと近寄った。ジリジリ……キリキリ……とコンクリートを削る音が、閉鎖された国道303号線に響いた。
そして、少年のそのストレートで美しい黒髪を、利刃は思いきり掴む。
「おまえちょっと、そこの路地裏来い」
「え……い、いヤだ」
少年は首を左右にふる。
「おい
ちょっとナイフ貸せ」
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