第五話『激突する一等星』その8
「……またハデにやってくれたな、大槻君」
数珠型ユニットの液晶モニターには、燃えさかる七期山がはっきりと映し出されていた。
こんな事もあろうかと、事前に
UH‐60ブラックホークのカーゴに設置されたシートの固さは、花の女子高生にはいかにも座り心地に不満のある代物だったが、現場の指揮官である切絵は無闇に弱音を
「クララ、アンジェリカ、シャルロットの三名は、引き続き結界を維持。他の者は消火作業に回ってくれ!」
一度した約束は、最後まで守るのが切絵の流儀だ。部隊を動かしたのは、さすがにやりすぎだったかもしれないが、一般人への被害を防ぐというお題目を彼女は押し通した。
そう。これはただの約束で、肩入れではない。
自身を納得させて再びモニターに向き合った法力僧は、衛星が捉えた映像を確認するや、思わず目元を押さえてしまう。
「あーあーあーあー。……これは、死んだかな?」
東条の拳を喰らった大槻勢十郎が、十メートル以上吹き飛ばされていた。
モノガミのアシストを受けていれば、簡単に死ぬような事はない。だが
カーゴ内は静かだった。スマートな作戦進行の為にと、ブラックホークにはあらかじめ特定周波数に対する防音術が施されている。おかげでこの強襲用ヘリは、まるで
「本当にいいのかい? 君はベースキャンプで待っていても良かったんだぞ?」
切絵が声を掛かけたのは、対面に座る少女のモノガミだった。
彼女はゴーグルを外したまま、自分の足の親指を眺め続けている。うす暗闇に輝くその
「……さみしい」
彼女の声は、まぎれもなく少女のそれだ。しかしその正体は、切絵の足下のアタッシュケースに収まった、安土桃山時代のものと思われる打刀だった。
余計な同情を避けるため、モノガミには必要以上の干渉を好まない切絵だが、今回は事情が事情である。このモノガミ相手には実体化を制限するような結界も張らず、ある程度の自由も与えていた。
そもそも、刀仙の
「…………さみしいね、東条」
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