第五話『激突する一等星』その4
思えば、あっと言う間の出来事だった。
人にはそれぞれ、生きていれば必ず出会う、
その情熱にうかされて、ときに人は、自らが思いもよらないほど愚かな
だがそれは、永遠には続かない。焼けた鉄を水没させるように、時間は人の一生から、一瞬のうちに熱を奪い去っていくからだ。
初めて刀を手にしたあの日から、百年以上たった今でも、東条の中では鋼の
それは己の剣の完成という、彼の
「おおぉおぉぉぉぉおおおおッ!」
山が震えるような
手元に残った唯一無二の愛刀、刃渡り三尺の
他の出口は事前に爆破済み。刀仙は勢十郎を洞窟に生き埋めにして、残った竜の鍔を地中から回収する
事ここへ至っては、さすがの東条も自身の
ところが、どういうわけか彼の命を狙っているはずの法力僧達が、
東条は素早く長光を
放っておいても、大槻勢十郎はいずれ酸欠で死ぬだろうが、金にがめつい法力僧達がいつまでも大人しくしている保証はない。刺せるとどめは確実に刺すのが、東条の流儀だった。
常人ならば洞窟の出入口を
だからこそ東条は、崩れ落ちた洞窟がまさか内側から吹き飛ぶなどとは、予想もしていなかった。
「ッッ!?」
先の戦争では白兵戦だけでなく、
「まったく……、お前にそっくりだよ。八兵衛」
そう呟いて、刀仙は最後の愛刀を構え直した。
◆ ◇ ◆
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