第26話 復活の方法

 かぐや姫ともなんとか和解し、ようやく穏やかな日常を取り戻した桃太郎。


「おい、桃太郎、早くわたしと交わらんか!」


 桃太郎が布団で寝ていると雪女が布団に入って来て、桃太郎の胸元に手を入れてきたりして誘惑してくる。


「ちょ、ちょっと待って、みんなに聞こえるしまずいよ……」

「よいではないか、思い切り聞かせてやればよいのじゃ!」


 雪女はとにかく桃太郎が気に入っており、備前に戻ってから毎日こんな感じのやり取りが続いていた。


「あんたたち、朝から何やってるのよ!」


 桃太郎の部屋の障子戸を開けて、となりの居間にいたかぐや姫が注意してくる。


「なんじゃ、よいではないか。かぐや姫とやらは妬いておる」

「な、そんなことないわよ! 雪女、あんた少しは童話ってジャンル考えなさいよ! 玉藻の前もそう思うわよね?」


 かぐや姫は玉藻の前の同意を得て雪女を数的優位で黙らせようとするが、意外な返事が返ってくる。


「わらわは、早く桃太郎を権力者にして堕落した姿が見たい。じゃから、雪女に溺れて堕ちていく桃太郎を見るのも悪くはないと思っているぞ」

「あんたたち、本当に歪んでいるわ……。誰がこの二人をメンバーにしようとしたのよ!」


 かぐや姫はサル、キジ、犬の方を睨みつけると、サルとキジは黙って犬を指さす。


「おい、犬、お前だけはぜってぇにいつか潰すからな!」

「……」


 かぐや姫は月に帰る際に渡された食べかけの骨の件もあり、犬に対して再び殺意を抱くのであった。


「だ、旦那、とりあえず、雪女さんにメデューサさんが復活できる方法を知らないか聞いてみましょうよ!」


 犬が話題を振ってくれたおかげで、雪女に着物を脱がされかけていた桃太郎だが、なんとか布団から抜け出し、戸棚に保管していたメデューサの破片を出して、雪女に復活できる方法はないか尋ねる。


「そうじゃの、出羽の国の辺りに精霊の泉というのがあると聞いたことがある、そこの精霊なら直せるかも知れぬぞ!」

「そうか、では、さっそく向かおう!」

「まあ、待て、その泉の精霊というのが好き者でな、昔、その泉に行ったふき姫という女が虜にされて帰れなくなり、フキノトウにされてしまったという話がある。じゃから、純情な乙女が行くと精霊の虜にされて帰れなくなるが大丈夫か?」

「……。純情な乙女なんて今のメンバーにいないじゃない……」


 桃太郎は女性陣を見渡し、まったく問題がないことがわかり、精霊の泉に向かうことにした。

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