第27話 精霊の泉

 備前を出立し、精霊の泉に訪れた桃太郎一行。


 森の奥へと進んでいくと、透き通ったような綺麗な水が湧いている泉にたどり着いた。


「おい、精霊はおらぬか?」


 桃太郎はメデューサの破片が入った壺を持って、精霊を呼んだ。


「なんじゃ、男ではないか? 綺麗な女子とかおらんのか?」


 桃太郎の声に気づいた泉の精霊が美少年の姿で現れる。


「おい、頼みがある。この子を人間として復活させて欲しい!」


 桃太郎はメデューサの破片が入った壺を見せると、精霊は怪物の姿ではなく人間の姿に戻すことはできるが魔眼の力までは解くことができないと言う。


「それで十分だ。怪物の姿にならないなら、魔眼の力くらい残っても何ら問題ないよ。お願いできないか?」


「まあ、聞いてやっても良いが、お前が連れてきた美女3人を置いていけ!」


 好き者で有名な泉の精霊はかぐや姫、玉藻の前、雪女の3人を置いていくことを交換条件に出してきた。


「旦那、これはむしろ渡りに船ですよ! メデューサさんが帰ってくれば、美少女枠も埋まりますし、あの3人を引き取ってくれるならむしろ好都合!」


 かぐや姫から狙われていた犬にとって、精霊の交換条件は好都合で、桃太郎もなんか3人なら大丈夫な気がして、交換条件を受け入れた。


 泉の精霊は喜び、すぐにメデューサを復活させてくれるのであった。


「あれ、ここは……」

「メデューサちゃん、生き返ったんだよ! 魔眼の力までは無理だったけど、もう怪物の姿にもならないから……」


 桃太郎、サル、キジ、犬は復活したメデューサに抱き着き、メデューサの復活を喜ぶ。


 一方、泉の精霊は交換条件でかぐや姫、玉藻の前、雪女を手に入れるが、3人とも我が強く、手に負えなくなる。


「あんた、何か貢物持ってきなさいよ!」

「え、あ、はい……」


「わらわのために早く権力者になって、そして堕落するのじゃ!」

「いや、それはちょっと……」


「わたしは桃太郎みたいにセクシーな男がいいんだよ、お前みたいな水の精霊を見ると氷漬けにしたくなる!」

「あ、あのやめてください!」


 泉の精霊はふき姫のような恋も知らない初心な女性は得意であったが、この3人のような男慣れした女性は苦手であった。


 結局、メデューサ復活の代価までは求めず、3人を連れて帰ってくれればよいと泉の精霊に泣きつかれ、桃太郎はかぐや姫たちも連れて、みんなで備前に帰ることとなった。

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