第3章 ニューヒロイン獲得編
第21話 ニューヒロインを獲得せよ!
かぐや姫が月に帰り、女っ気のなくなった桃太郎一行。
「桃太郎の旦那、この状態はまずいです!」
「え、意外と平和に暮らしているじゃん」
「おい、ちょっとみんな集合だ!」
犬の呼びかけにより、サルとキジも参加し、緊急会議が行われる。
「いいですか、この作品の閲覧数がドラキュラ退治の時に一回落ちたのを回復させたのはかぐや姫の登場回からなんですよ!」
「え、そうなの?」
閲覧数とか気にしていなかった桃太郎は犬の話を聞いて、かぐや姫の存在が大きかったことに驚く。
「このまま男だけの状態が続いたら、間違いなく読者に見限られます! ニューヒロインを獲得しに旅に出ましょう!」
「そんなこと言っても、誰を仲間にするか決まっていないだろう……」
桃太郎はかぐや姫に匹敵する昔話の姫様が思い浮かばず、何人か候補者を犬に話してみる。
「例えば浦島太郎の乙姫とか?」
「あの海のキャバクラ嬢は却下です! 舞台が海中になってしまうので、人魚姫とか出てくるお話でもあれば、コラボしてもいいですが、現状は却下です!」
「では、安珍・清姫の清姫とか?」
「アイツ、ストーカーな上に最後、安珍さんとんでもないことになったでしょ! この作品を『ス〇ール・デイズ』みたいな作品にしたいんですか?」
「いや、あの主人公みたいにはなりたくない……」
この後も桃太郎、サル、キジで候補者を言ってみるが、犬はどれも首を振る。
「あんたたちはわかってねぇな~。いま、市場が求めてるのはこの二人なんですよ!」
そう言って、犬は『玉藻の前白面金毛九尾の狐』と『雪女』のイラストを壁に貼る。
「玉藻の前と雪女? おい、それ姫ではなく、妖怪ではないか?」
「いいんですよ! メデューサさんだって妖怪だったでしょ! あと、玉藻の前と雪女は海外も含めて人気な妖怪なんですよ!」
「え、マジで?」
「そうです。玉藻の前はゲームキャラになったりアニメのキャラになったり、大変人気ですし、雪女も最近はアニメに出ることが多く、海外のアニメファンの間では大人気なんですよ!」
犬は持っていた指示棒で玉藻の前と雪女のイラストをパンパンと2回くらいずつ叩き熱弁する。
「わ、わかった。それではその二人を仲間にすべく旅に出よう。今回は何処まで行くのだ?」
「東国です。玉藻の前は坂東の下野の国、雪女は奥州、遠野の地にいると聞いています」
「まあ、暇だったし、東国には行ったことないから行ってみるか」
「ええ、それに玉藻の前と雪女は長く生きている妖怪なのでメデューサさんの復活方法を知っているかもしれません!」
「犬よ、それを早く言え!」
桃太郎は俄然やる気が出てきた。
こうして男だけになった桃太郎一行はニューヒロインを獲得すべく、東国に向かい、旅を始めるのであった。
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