第17話 金の斧・銀の斧

 お妃から金の斧・銀の斧の話を聞いた桃太郎一行は女神の泉を目指す。


「桃太郎さん、あ~ん」

「あ~ん」


 桃太郎はメデューサにキビ団子を食べさせてもらったり、途中の休憩では膝枕してもらったり露骨にイチャイチャするようになってきた。


「犬君、これって、この物語の危険信号じゃない?」

「確かにかぐや姫の姐さんの言う通り、あっしがちょっと旦那を説教して来ます!」


 犬は桃太郎を木陰に呼び出すと最近のメデューサとの関係について厳しく説教を始めた。


「あのね、露骨に両思いになってどうするんですか? 読者が喜ぶのは両思いにしか見えないけど、その関係がくっつきそうでくっつかないっていうもどかしさなんですよ!」

「いや、そんなこと言っても……」

「旦那! あんた、両思いがイチャイチャしているラブコメ見たいですか?」

「いや、見たくない……」

「でしょ! 距離感、気を付けてくださいね!」


 小一時間犬に説教されて落ち込んで木陰から出てくる桃太郎、メデューサとせっかくいい関係になりかけていたのに、歩く時は必ずメデューサとの間にサル、キジ、犬が入るようになり、スキンシップは禁止となってしまうのであった。


「さて、女神の泉に着きましたよ! 旦那、これどうするんでしたっけ?」

「え? メデューサちゃんを泉に落として、女神が落としたのは金のメデューサか銀のメデューサかって聞いてくるから……、あれ、正直に答えても金のメデューサちゃんと銀のメデューサちゃんが手に入るだけで解決にはならないんじゃない……」


 桃太郎一行は女神の泉の前まで来て、この物語の大事な部分に気づくのであった。


「悩んでもしかたないじゃない! とりあえず、メデューサちゃん泉に入って!」


 かぐや姫がメデューサを泉に突き落とし、しばらくすると中から女神が現れる。


「あなたが落としたのは、この金のメデューサですか? それとも銀のメデューサですか?」


「金に決まっているじゃない! 金を寄こしなさい!」


 いきなり欲に走るかぐや姫。


「お前ふざけんな! メデューサちゃん帰ってこなくなるだろ!」


 泉の前でお互いの顔を掴み合い争いになる桃太郎とかぐや姫。


 女神も額から汗を流し、目の前の醜い争いを見つめる。


 サル、キジ、犬が二人の喧嘩の仲裁に入り、女神そっちのけで喧嘩を止める。


 その時、水中から赤い光が放たれ、女神は石化し、ずぶ濡れのメデューサが泉から上がってきた。


「もう、大丈夫ですから。呪いの件は諦めますから……」


 そう言って泣き出すメデューサ。


 喧嘩をしていた桃太郎とかぐや姫もその姿を見て喧嘩を止め、メデューサに魔眼殺しのメガネをかけさせ、とりあえず、濡れた服を着替えさせるため、近所の街の宿屋に向かうのであった。

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