第16話 白雪姫

 オオカミ男を退治した桃太郎一行は、白雪姫のいる国へとたどり着いた。


 桃太郎たちが城下町に向かう途中、小人たちが棺桶で眠っている白雪姫の周りで泣いていた。


「おい、お前たちどうした?」

「はい、白雪姫様が悪い妃に毒リンゴを食べさせられ死んでしまったのです。これはイケメン王子の口づけがないと生き返れません……」


 桃太郎はどさくさに紛れて美女にキスするチャンスだと思った。


「よし、都合よくイケメン王子が来るとは思えない。この場は俺が代わりに口づけしてやろう!」


 桃太郎は白雪姫に顔を近づけるが、背後に立つメデューサが魔眼殺しのメガネを外し、異様な殺気を放っているのに気付き、冗談だと誤魔化した。


 そこに都合よくイケメン王子が現れ、白雪姫に口づけして、白雪姫は目を覚ます。


 桃太郎一行も何があったか事情を聞くと、悪いお妃が魔法の鏡に世界一美しいのは誰と聞いたところ1位がお妃から白雪姫に変わっていたことに嫉妬して白雪姫に毒リンゴを食べさせたとのこと。


「陰湿なババアね! でも、安心しなさい! このかぐや姫がこの国に来た以上は絶対的な1位はあたしだから!」


 かぐや姫は自信満々でお妃のいる城に乗り込む。


「おい、オバサン! 逆恨みで白雪姫を殺そうとするんじゃないわよ! その鏡に現在の1位が誰か聞いて現実を受け止めなさい!」

「なんだこの派手な着物の小娘は! 絶対的な美女はわたくしに決まっているでしょ!」


 お妃は魔法の鏡に世界で一番美しい女性を尋ねる。


「一番美しいのは……、白雪姫様です……」


サル:「……」

キジ:「……」

犬 :「……」

桃太郎:「ま、まあ、アイドルの総選挙もそうだけど、実際は1位よりも2位の方が可愛かったりするから、2位も聞いてみようよ!」


 茫然とするかぐや姫とお妃であったが、とりあえず2位を鏡に尋ねる。


 すると鏡が2位の美女として映し出したのはメガネ美少女のメデューサちゃんだった。


「あらやだ、恥ずかしい……」


 頬に手をあて恥ずかしがるメデューサ。


 事態を深刻に受け止めた桃太郎はサルと犬に何とかするように命じる。


 サルと犬は魔法の鏡を別室に連れて行くと、なにやら説教を始める。


「鏡さんよ! あんたが正直なのはわかるけど、こっちはうまくやれって言ってんだよ!」


 サルの説教と犬から魔法の鏡に手渡される賄賂的なモノが見えたが、桃太郎は知らん顔した。


 5分ほどしてサルと犬が鏡を持って帰ってくると、桃太郎は再び魔法の鏡にこの世で一番美しい美女を尋ねる。


「……いま注目の若手美女はかぐや姫さま、ミドル部門で一番輝いている美女はお妃さまでございます……」


 魔法の鏡は嘘はつけないが、最大限の忖度をした。


「やだ~、今注目の若手美女だって!」

「わたくしもミドル部門で一番輝いている美女だなんて!」


 かぐや姫もお妃も案外チョロくて桃太郎たちは何とかこの場を収めることができた。


 桃太郎はお妃にメデューサのことを伝え、何とか呪いが解けないか尋ねると、お妃はメデューサの存在を知り、ガクガク震えながらも金の斧、銀の斧の伝承がある泉の女神ならなんとかできるかもしれないということを教えてくれた。


 かぐや姫もお妃とはワガママ同士気が合うのか、打ち解け仲良くなり、泉に向かうための地図や旅行資金までもらい、桃太郎一行は伝説の泉に向かって旅立つのであった。

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