第14話 オオカミ少年
桃太郎一行が白雪姫のところに向かう途中、ある村にたどり着いた。
「おい、少年、何を落ち込んでいる」
桃太郎たちが村に入ると、羊飼いの少年が蹲ってため息をついていた。
「実は「オオカミが来た」と嘘をついて周囲の大人を惑わせるいたずらをしていたら、ある時、本当にオオカミが襲って来たときに大人に信じてもらえず、羊を食べられてしまったのです」
「それは、自業自得だな。では、先を急ぐ故、また……」
羊飼いの少年を無視して先を急ごうとする桃太郎一行であったが、羊飼いの少年は桃太郎に泣きつき、助けを求めてきた。
「助けてください! オオカミたちはそれ以降も村を襲うようになり、このままでは羊だけでなく、村の人たちも食べられてしまいます!」
羊飼いの少年の必死の頼みもあり、桃太郎はオオカミたちの襲撃から村を助けることにした。
桃太郎一行はいつものように犬を中心としたミーティングを一時間ほど行うと、村の入り口に大きなブルーシートを敷き始めた。
「いったい、何をするのですか?」
「おいおい、坊や、最初にオチを話すわけないだろ!」
犬は羊飼いの少年を注意すると、桃太郎一行はブルーシートの上に何かの液体を撒き始めた。
「よし、サル、森の入り口に行ってオオカミどもを挑発してこい!」
桃太郎に命じられたサルは森の入り口でオオカミたちに赤い尻を見せたり、中指を立てたりして挑発すると、村に駆け戻ってくる。
「桃太郎さん、奴ら来ますよ! 怒り心頭になってます!」
「よし、サルよ、よくやった! 作戦開始だ!」
桃太郎たちはブルーシートの端に立ち、オオカミたちがブルーシートの上を走って襲ってくるのを待った。
サルに挑発されて我を忘れて襲い掛かって来たオオカミの群れはブルーシートの上を走りだすと、急にヌルヌルの液体に足を取られて、ステンステンと転び出した。
桃太郎たちはブルーシートに大量のローションを撒いてたのである。
そうとも知らず、オオカミたちはブルーシートの上で立ち上がっては転びを繰り返す。
ブルーシートから出てきそうになったオオカミに対しては大きなハリセンを持ったかぐや姫がブルーシートから出られないようにハリセンで無慈悲に顔面をぶっ叩き、オオカミたちを再びヌルヌルのブルーシートの中へと戻していく。
完全に足元のローションで滑り立てなくなったオオカミたちを村人総出でブルーシートを端から巻いていき、オオカミたちを
ローションで毛並みもベトベトになったオオカミたちは泣きながら桃太郎に許しを請う。
「まあ、これに懲りたら、もう人間の村は襲うな! あとは村の人も定期的に村の入り口に餌を置いてあげて、お互いに仲良く暮らせ!」
オオカミたちと村人はお互いに平和的に暮らすことで双方の領域を侵犯しないことを約束し、オオカミたちも森へと引き上げて行った。
「おい、羊飼いの少年、お前が一番悪いのだから、これからは人を困らせる嘘は言ってはダメだぞ!」
桃太郎は村人の前で羊飼いの少年をわざと𠮟りつけ、村人もそれを見て、羊飼いの少年を村からハブにするのは止めることとなった。
「桃太郎さんって、本当に優しいんですね!」
両手を頬に当て、頭からハートマークの湯気が出るメデューサ。
こうして桃太郎一行は再び白雪姫の元へ向かって歩き出すのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます