57 芥子粒

北風にザンと暴れる卒塔婆かな


芥子粒は人一生の恥の数


青田ゆく風に生まれたかった君


あれは桜の花びらだった道のシミ


狂気じみてをり金魚草金魚草


鴉飛び立つ枯野は水を持たぬ海


墓地に居ればいつしか海となりにけり


梅雨の日の書庫の匂ひとなりにけり


早世の我ガ子の話麦を踏む


雉子の夫婦見し朝一際激怒せり


若草の匂ひ学生ゐる電車


詰め替えて違うシャンプーだったらしい


ドライヤーに吹かれ消えてく水を見たい


山桜また夭逝に失敗す


眼球に風船写りいつしか点

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