25 鳥渡る

福寿草希望の色は黄色なり


鳥渡る我に翼のなき慚愧ざんき


あの中にいつか亡命シャボン玉


雨雪うせつにも光は消えず節分草


焼き芋や炎に堪へし石の艶


星々を弔う鐘の鳴る夜かな


不死なき月を従へ鳥渡る


冬深し行方不明の三十歳


本売れば何か痩せゆく冬日向


伯林ベルリンの黒き夜へと雁渡る


冬の海歩み入りける一義足


風神と少年駆ける睦月かな


斬首後の鈍色にびいろ三十三間堂


スノードロップ涙の国も晴れ模様


吹雪く夜に嗚咽おえつ漏らしぬ救急車


屋根に充つ枯葉も駆ける疾風かな


護送車の中は静まり吹雪の夜


天白し風の形に雪降りぬ

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