26 国境

ときめけば夢より蝶を持ち帰る


産声を持たぬ静けさ梅ひらく


投石の角度美し春の海


水底みなそこ転生てんしょう氷魚ひおおののけり


土不踏つちふまずほどのさみしさ寒紅梅


靴底に足音彫りぬ冬小径こみち


冬深し海の上にも国境くにざかい


返り花美男のままに老いにけり


我の血をけて育む蚊の子あり


瞑目す月の裏には白きほのお


後ろ手に組んで歩く子石鼎忌


はげし常に前触れなき落丁

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