18 十薬

埋めたの泣く声高し休耕田


薄皮をけふもピピンにわせけり


紐を裂きまた紐を裂き狂女かな


ぶつかりて誰を求めん山颪やまおろし


他人ひとの身といふ娯楽あり社会面


十薬どくだみや期待されざる日々を咲く


廃屋の机上に「無用者の系譜」


ままにならぬ月日よ食卓には百合を


「お互い様」は風前のか社会鍋


仮の世のいのちたたへし福寿草


残りしは桜のみなり家族写真


河童忌やもはや真綿まわたのごとき不安


近づくは火球の音か人たお


小春日や致し方なし羽なき身

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