16 白杖

見ぬ世にも日常はありシクラメン


何げなき日々のコーヒー冬の声


白杖はくじょうの男の挙手や冬木立


寒冷の薔薇の花弁が変死する


お転婆に薔薇の気品を飲ませたし


鶯神楽うぐいすかぐら娑婆しゃばにもありし反省文


退職の父の背中と葉桜と


葉桜や若葉の生と花の死と


邪眼じゃがんの子サンタの髭をむしり


校舎裏呼ばれしのちのガラス片


地球儀に「ぼくの王国」新入生


なにがし」が本名となる大都会


皮膚の孤舟こしゅう散らばる凍湖とうこなり


狐火きつねびや鏡花全集うずたか


「000」の不在着信蝉時雨


チューリップ共に育てば顔は似る


深夜二時祈り顔なるトルソぐん

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