15 左義長など

幽閉や凍りつきたる池に枝


不屈よし風の中なる芽吹きかな


赤い靴いて首切るわれサンソン


孤島にて不意の野分のわきやヨハネ死す


(砂時計四つ)

血流の音と流れる砂の音


足元が危うくなりぬ砂時計


蟻地獄こんなものかと砂時計


砂時計見つめ続けて灰となる



(左義長さぎちょう四つ)

左義長や時には熱き火を抱いて


左義長や炎凝視ぎょうしは人のさが


左義長や老いも若きも火の子なり


禁じられた遊び覚へるどんど焼き



柿の種吹いて遊べる管理職


どんぐりを日向に並べ松の内


特別収集サンタはこれで三体目


年賀けつそれも一つの意思なりき


初日記四日ののちは保証なし


初暦はつごよみ表紙のインクもの哀し


読初よみぞめの朝刊「終戦まだ遠し」


探梅やここぞとばかりの烈風か


蜉蝣かげろうや泣かずに消えた子どもたち

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