10 冬天

隣の子「鼻毛はなげの墓」を作りけり


明日もまた夕陽ゆうひに染まる人となる


「崩壊」と端麗たんれいに書く書記の指


故郷ふるさとは瓦礫とされて遠くなり


落下後のホールケーキや瓦礫街がれきがい


冬天とうてん餓鬼共がきどもの声ただよへり


珈琲の飲み口なぞる大晦日おおみそか


去りかねて柿がもとのみ暮れ残る


夜の海水面みなもを埋めるメメクラゲ


断裂だんれつの輪ゴムに似しか死者のくち


枯れ蓮を婆利婆利ばりばりと喰う大晦日おおみそか


氷島ひょうとうを踏む片足の響きかな


戦火にも子は青空へ手を伸ばす

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