6 氷雨
「
スノーフレーク凍りつきたる友の遺書
(ルイ・ル・ナンの「農民の家族」の正面左側に存在感のある老婆が描かれている。その眼は不敵とも言えるほどの強い光を放っていて、実在の人物を描いたのではないかと思われるほどの力に圧倒される。絵画の中の老婆はいつまでもこちらを見ているが、現実の人間はいつか永遠に瞑目する日を迎える。確かにそういう日はやってくるのだ。)
幾十年生きて
分度器の角で作った
(白木蓮の咲く形を見るたび聖火を連想する)
立つ鳥の航路照らせよ白木蓮
手荷物は岩波文庫秋の旅
ワレラミナ、コトノハツムグ
ともしびが車窓に溶ける
コスモスは夕焼けの花母の花
(熊谷守一「
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