3 象眼

ダリのひげ真似し教師のひげが火事


晩秋や枯れ葉を踏んで立ちすくむ


晩秋の空にわずかの愁いあり


蒼天に象眼ぞうがんされし枯木かな


情婦炎上右手小指の乳歯痕にゅうしこん


日の涯に枯野の夢がこだまする


日の涯に立ち枯れ小栴檀草こせんだんぐさ


年過ぎて痩躯そうく枯木は枝ばかり


この身にも栄華はありと吾亦紅われもこう


明け方や林檎かじりてすこしじゃく


シクラメン集いてしゃべり冬の夜


毒虫になったようなり冬六時


閑日や蝶を潰して蠅を煮る


去年今年こぞことし転がる石に沈む石


山茶花さざんかが行く手塞ぎしついの家


火の鳥が孕みのち吐き茜雲

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