第3話
随分と歯切れの悪いというか中途半端な紹介だな。
今さら現れたところでなんだっていうんだ。俺と彼女とは決定的に別れたんだ。
俺は一方的すぎたのかもしれないが、ストーカーの疑いを掛けられて通報されかけたのだからな。
「改めて言いますけど、なんのご用でしょうか?」
「君には大変に申し訳ないことをしたと思っている」
微妙に話を外してくるんだよな。
どこまで信用したらいいものだろうか。
全部が嘘というわけでもないからな。彼女とのことは本当なわけだから。
「それならどうして彼女が謝りに来ない?」
「恥と外聞だな。そのお詫びといってなんだが、その妹などどうかな?」
「お詫びといいながら、傷口を抉って塩を塗り込むような真似がよくできるな!」
外から見たら漫才かコントのように見えるだろうが、俺はいたって真面目に聞いてやっている。本当に何やってるんだろうな。
「とまぁ冗談はこれくらいにしよう。それでだね、君は本当に宝くじを当てたいと思っているのかな?」
「当然だ。宝くじで三億円くらい当てて、気立ての優しい質素な女性とたまにプチ贅沢をするくらいの暮らしをするんだ」
家はそんな豪邸じゃなくてもいい。子供の成長に合わせて何回か住み替えるのもいい。前の家は賃貸で貸し出して、家賃収入を得るのだってありだろう。
「よろしい。人の口に戸は立てられないですからな。悪気がなかったとはいえ、悪口を喧伝されては彼女の名折れ。私がサポートしてしんぜよう」
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