第4話 いじめっこと少年

 それから一週間後の朝。少年はいつものように学校へ向かって歩いていた。今日もいつもと同じ通学路。何も変わらない日常。

 少年が校門の前にたどり着いた時だった。

「おい!お前!」

 後ろから声をかけられたので振り返ると、そこには一人の男子生徒が立っていた。少年は不思議そうに彼を見つめる。

(誰だろう、こいつ)

 少年は相手の顔に見覚えがなかった。少なくとも同じクラスの生徒ではないことは確かだ。

「なんでしょうか?」

 少年は尋ねた。すると、相手は怒ったような口調で言う。

「なんでしょうかじゃないだろ!忘れたとは言わせないぞ!」

「えっと……」

 少年は必死に思い出そうとした。そして、やっと気づく。

「ああ、君か」

 少年は苦笑いを浮かべた。彼の名は『中村』。少年のクラスメートであり、いじめの主犯格でもある人物だった。

「まったく、お前は相変わらず生意気な野郎だな」

「ごめん」

 少年は素直に謝った。

「まあいいさ。それよりちょっと付き合ってくれよ」

「どこに?」

「決まってるだろ」

 そう言うと、彼は少年の腕を掴んだ。

「ちょっと待ってよ」

 少年は抵抗したが、無駄な努力に終わった。結局、少年はそのまま引き摺られるようにして校舎裏へと連れて行かれてしまった。

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