第4話 いじめっこと少年
それから一週間後の朝。少年はいつものように学校へ向かって歩いていた。今日もいつもと同じ通学路。何も変わらない日常。
少年が校門の前にたどり着いた時だった。
「おい!お前!」
後ろから声をかけられたので振り返ると、そこには一人の男子生徒が立っていた。少年は不思議そうに彼を見つめる。
(誰だろう、こいつ)
少年は相手の顔に見覚えがなかった。少なくとも同じクラスの生徒ではないことは確かだ。
「なんでしょうか?」
少年は尋ねた。すると、相手は怒ったような口調で言う。
「なんでしょうかじゃないだろ!忘れたとは言わせないぞ!」
「えっと……」
少年は必死に思い出そうとした。そして、やっと気づく。
「ああ、君か」
少年は苦笑いを浮かべた。彼の名は『中村』。少年のクラスメートであり、いじめの主犯格でもある人物だった。
「まったく、お前は相変わらず生意気な野郎だな」
「ごめん」
少年は素直に謝った。
「まあいいさ。それよりちょっと付き合ってくれよ」
「どこに?」
「決まってるだろ」
そう言うと、彼は少年の腕を掴んだ。
「ちょっと待ってよ」
少年は抵抗したが、無駄な努力に終わった。結局、少年はそのまま引き摺られるようにして校舎裏へと連れて行かれてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます