第5話 暴力と少年

 少年が連れて来られたのは体育館の裏だった。普段はあまり人が来ないので、告白スポットとして有名である。そして、その噂は真実でもあった。

「ここでいいか」

 少年をここまで引っ張ってきた人物は言った。少年は周囲をキョロキョロと見回している。

「いったい何をするつもり?」

 少年は不安げに尋ねる。

「何って、わかってんだろう?」

「まさか……」

 少年の顔色が青ざめる。

「その通りだよ」

 すると、少年の背後にある茂みの奥から数人の少年たちが現れた。全員がニヤニヤと笑っている。

「ほら、早く脱ぎな」

 リーダーらしき人物が命令する。少年は一瞬ためらいを見せたが、すぐに諦めたように制服を脱いだ。

「これでいい?」

 少年が尋ねると、リーダーは無言で近寄ってきていきなり蹴りつけた。少年は地面に倒れ込む。

「ぐあっ」

「誰がしゃべって良いと言ったんだよ」

 少年は黙り込んだ。もう逆らう気力すら残っていなかったのだ。

「よし、みんなで可愛がってやれ」

「へいっ」

 男たちが一斉に少年に飛びかかる。少年は悲鳴を上げた。

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