我が家のドッペルゲンガー事情

saito sekai

もう一人の自分なのだろうか…


最近我が家の娘が変なのだ。トイレに入る前に必ず「あのぉ…トイレ拝借しても良いでしょうか?」などと、まるで他人のように断るのだ。最初はふざけているのだと思い、父である私は、「ああ、どうぞ、どうぞ」なんて合わせていた。しかし何も言わないで、トイレを使用することもあり、ある日我慢が出来ずに娘に問いただした。


「何で、時々他人行儀なんだ?」と聞く、娘はそれは私ではない、私のドッペルゲンガーだと主張するのだ。中二病だろう…いずれ治る。暫く見守ることにした。


そして少し経つと、娘の他人行儀さは無くなった。彼女が言うには、ドッペルゲンガーは去ったとのこと。



それで今度は私が他人行儀のふりをやってみた。仕事から帰宅したときは、「お邪魔します」お風呂の時は「入らせていただきます」なんか楽しいな。


そんなある日、ふと私は思った。


「自分は、本当の自分なのだろうか?」と。           完




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

我が家のドッペルゲンガー事情 saito sekai @saitosekai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ