第3話
懐かしい。
この曲は、俺が初めてコンクールで弾いた、
一番思い入れのある曲だ。まるで曲自体が踊っているような躍動感。思わず俺は、拍手をしてしまった。
「だっ誰ですか?」俺が拍手をしていたら、そう怒り気味に言われた。その言葉を発していたのは、綺麗な茶髪でロングな髪。大きな二重の目で、すごく可愛げのある顔だった。
「ごっごめん。その曲、俺が一番好きで。つい聞いてしまっただけだ。すまん。」
その少女は顔を赤くしていた。
「あっありがとう。自分の曲を褒められたの、初めてなもんで嬉しいよ。そうだ!君も弾いてみてよ。この曲」俺は少し考えてから
「あぁ。いいよ。」と返事をした。
ピアノの椅子についた。俺がピアノの鍵盤に触れた瞬間、その場の空気は一変した。音符の一つ一つがまるで動いてるかのようになった。
「すっすごい、、、。すごいわね!!私感動した。こんなに音楽で感動したの初めて。」
少女はたくさん褒めてくれた。
「ありがとう。」俺はそう言って、音楽室から出ようとした。
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