六つ目 永遠の安息

 それじゃあ、最後の七不思議である『永遠の安息』について話そうか。この七不思議は保健室で出会えるんだが、今までの七不思議に比べてとても平和な七不思議だよ。


 保健室のベッドの内、窓際のベッドで眠っていると、ある夢を見る時があって、その夢は自分の小さい頃の夢らしいんだけど、その夢の中には一人の幼い少女が出て来るんだ。


 その少女はとても明るい子で、夢の中で会うととてもハキハキとした調子で話しかけて来て、一緒に遊ぼうと誘ってくるんだけど、少女との遊びはとても楽しくて、いつの間にか少女との遊びに夢中になっているんだよ。


 そして、少女と遊び続けていると、少女が突然今の人生は楽しいかと聞いてくるんだ。不思議な話だろ? 夢の中の登場人物が人生は楽しいかと聞いてくるんだからね。


 それで、楽しくないと答えると、少女は少し哀しそうな顔をした後、それならここでずっと遊ばないかと提案してくるんだよ。どうやら夢の中の少女には他にも友達がいるようで、夢の中にずっと残ると言えば、その友達を紹介してくれるようなんだ。


 そこで、夢から覚める選択をすると、少女は残念そうな顔をした後、優しく微笑みながら目覚めても頑張って生きていってと激励してくれて、残る選択をすると、夢の中で少女やその友達とずっと遊んでいられるけど、現実では心臓麻痺で亡くなる。だから、『永遠の安息』という名前がつけられているんだよ。


 さて、それじゃあその少女は誰なのかという疑問を抱くと思う。実はこの少女はかつて保健室登校をしていた生徒で、結局病気が原因で亡くなったんだけど、一番印象に残っている窓際のベッドに魂が宿り、そこで眠っている人を自分の領域に引き込み、生前果たせなかった友達と楽しく遊ぶという願いを叶えようとしているんだ。


 でも、彼女はとても優しい子だから、嫌がる相手を無理やり閉じ込めるような真似はしないし、残る事を決めた相手はずっと大切にしたいと思っているらしく、それまでに残る事を決めて彼女の友達となった相手の事を何かと気にかけているみたいだよ。


 だから、君もそのベッドに眠る機会があって、彼女に会えたその時には、一緒に遊んであげてくれ。彼女はいつでも待っているらしいからね。

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