三つ目 呪いの人体模型

 それじゃあ、次は三つ目の七不思議である『呪いの人体模型』の話をしようか。


 君も何となくわかると思うだろうけど、この七不思議の舞台は理科室だ。普段は理科準備室に人体模型が置かれているんだが、それが丑三つ時になると理科室の隅に別の人体模型が現れ、独りでに動き始めるんだ。


 まあ、それだけなら別に怖くは無い。学校で噂される怪談では良くある話だからね。それじゃあ、この話は一体何が怖いのかというと、呪いのとついているだけあって、その人体模型にはちょっとした力があるんだ。


 それは遭遇した人物と自分をシンクロさせて、自分のパーツを刺激する事で、相手にも同じ箇所に刺激を感じさせる事という物なんだ。


 例を挙げると、腕をもう片方の手で叩くと、相手も自分の腕を叩かれたように感じ、内臓を強く握ろうとすると、相手もその部分を強く握られたように感じた上に強い苦しみを味わう事になるんだよ。


 そして、呪いの人体模型は苦しんでいる相手に近づくと、相手の額に自分の額をくっつけ、その魂を吸い取る。


 その後、そのままどこかへと消えていき、魂を吸い取られた相手はみんな倒れた状態で理科室で発見されているんだが、例外なく植物状態になっているみたいだ。きっと今でも彼らは人体模型の中に入っているんだろうね。


 さて、それではどうしてその人体模型が人の魂を吸い取っているのかについて話すとしようか。実はこの学校には、かつて人体模型をとても好きな生徒がいてね、他の生徒が気味悪がる中、その生徒だけは人体模型を嬉しそうに見ており、科学部だったのもあって人体模型を部活動の際に磨く程だった。


 だが、そんな生徒の事を周囲の生徒達は気味悪がり、次第にその生徒にイジメを行う生徒も出始め、遂には自殺にまで追い込んでしまったという。


 さて、これで呪いの人体模型の正体はもうわかっただろう? そう、自殺にまで追い込まれた事で恨みを抱えながら幽霊になった生徒だ。


 因みに、この七不思議は他の七不思議とは違って遭遇する機会は中々無いし、そもそも理科室にさえ立ち寄らなければ遭遇する心配は無い。


 だから、七不思議の中では一番危険度が低いけれど、遭遇してしまったら中々逃げられないから、もしも夜に学校に泊まったり何か理由があって入る事があったら気をつけた方が良いだろうね。苦しみながら魂を取られ、永遠にその生徒のお友達になりたくなかったらね。

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